紙パルプ産業と環境 2026 循環資源の多様な利活用で新たな成長
新型コロナウイルス感染症のパンデミックやロシアによるウクライナ侵攻など国際社会が大きな衝撃を相次いで受け、企業による国際的な経済活動は大きく制約されるようになりました。一方では地球温暖化や海洋汚染、SDGs(持続可能な開発目標)、プラスチック汚染対策などの取組みにも見られるように、世界における環境意識の高まりは一段と勢いを増し、新たな価値観による産業構造の再構築へと進みつつあります。企業が成長戦略を立てていくうえで転換点にあると捉えられており、そのなかで製紙業界は自然由来の資源による循環型産業としての利点を活かすことで、持続可能な社会の実現へ向け大きな役割を果たすと期待されています。
わが国ではすでに業界を代表する日本製紙連合会が温暖化対策として2021年1月に「2050年の温室効果ガス排出を実質ゼロにする」という長期ビジョンを発表、SDGsへの貢献も22年3月「サステナビリティレポート2021」、23年5月にその2022年版を公開して具体的な方向性を示しました。また、プラスチック汚染対策に関しては製紙各社により“紙”や木質バイオマスをベースにしたプラ代替素材の開発が積極的に行われています。さらに早い時期から古紙利用や植林などに取り組んできた業界として、環境問題への対応を融合させた高度な資源循環システムを実現させつつあります。
弊社は長年にわたり“紙”を中心に据えた出版活動に携わってきた立場から、毎年『紙パルプ産業と環境』シリーズとして環境問題に焦点を当てた出版物を刊行していますが、今年の2026年版では『循環資源の多様な利活用で新たな成長 〜サーキュラーエコノミーへの貢献 〜』と題し、紙パルプ産業における環境対応の現状を総合的に概観するとともに企業個々の事例を紹介、今後の展望なども探ります。業界内に限らず関連他産業の企業をはじめ一般消費者、市民運動団体、官庁・公共機関など広範な対象の方々が紙パの実情に対する理解を深めるための有益な1冊として構成・編集しています。
再生可能エネルギーや発電事業、バイオマス利用の可能性、古紙・森林の新たな課題を追う。
B5判・本文180頁
定価 2,200円(税込・送料別)
2025年8月29日
本書の内容
●循環型社会の実現に貢献する新たな取組み
活きてくる紙パの産業特性/新たな木質資源の事業化で持続可能な成長へ
非製紙部門の木質資源利用/新規素材をリードするCNF SAFは今後の進展が注目
私はこう考える/最近のセルロースナノファイバー関連トピックス2025
東京大学大学院農学生命科学研究科 磯貝 明
●環境行政と紙パルプ業界の行動指針
紙パのSDGs/業界特性を活かした多様なサステナビリティを展開
改正クリーンウッド法への対応/上流事業者の取組みも踏まえ合法性確認による適切対応へ
私はこう考える/紙パルプの視点からの環境法令改正動向
北越コーポレーション㈱ サステナビリティ推進本部 中俣 恵一
私はこう考える/COP29の成果が製紙産業に与える影響と取組み
みらい廃棄物研究所 木村 篤樹
●持続可能な森林管理とエネルギー関連技術
FSC創立30周年記念フォーラム/国際標準となる森林認証システムの到達点と今後の課題を共有
大阪・関西万博記念国際フォーラム/森林認証材への関心高く国内外から200名超が参加
容器包装3R推進フォーラム/サーキュラーエコノミーで再生材の供給力をどう高めていくか
加BC州の現地視察報告会/カナダ産ペレットの最大顧客は日本のバイオマス発電
私はこう考える/CO2利用技術の最新動向について
岩崎 誠
●変化する古紙の回収・利用と今後の需給予測
世界の古紙需給/全体の消費は微減だが途上国の回収量が大きく伸長
地方自治体の紙リサイクル施策調査/全国1,741自治体を対象に雑がみの回収状況などを詳細に調査
2024年のメーカー別古紙消費/順位に大きな変動はないが使用品種の変更やシフトがみられる
古紙需給の中長期展望と予測/雑誌、新聞は供給不足も余剰する段ボールは輸出が必要
●データで見る紙パの環境対応
データで見る紙パの環境対応①/原料調達:違法伐採への着実な取組みが進展
データで見る紙パの環境対応②/エネルギー:着実に進む非化石燃料への転換
データで見る紙パの環境対応③/産業廃棄物対策:2025年度目標へ向け継続的に努力