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日本製紙/米国・日本製紙USAの事業を譲渡


 日本製紙は3月2日、連結子会社である日本製紙USAの事業をメキシコの大手製紙メーカー、Bio Pappel社の米国子会社、Mckinley Paper Companyに1USドルで譲渡すると発表した。日本製紙USAが手がける電話帳用紙や中質紙は、地元の北米のみならず世界的に需要が大きく落ち込んでおり、将来的にも期待が持てないことから、この価格での譲渡となった。Mckinley社は、日本製紙USAの抱える債務などは引き継がない。
 日本製紙は1988年にジョージア・パシフィック社より、米国ワシントン州ポートアンジェルス市で電話帳用紙などの中質紙製品を製造・販売していた当該事業を買収。低坪量で高い品質を誇る日本製紙USAの製品は、北米市場を中心に長年にわたり販売実績を上げてきたものの、近年は急激な需要減少により厳しい事業環境が続いていた。
 一方、日本製紙は第5次中期経営計画(2015~17年度)で掲げる「事業構造転換」の観点から、昨年10月に北米の印刷・出版用紙事業から撤退する方針を発表し、事業売却先を検討してきた。今回、北中米で広く板紙製品の製造・販売を行うBio Pappel社が米国子会社のMcKinley社を通じ、「日本製紙USAの資産を活用して事業を継続していくことに意欲的であることから、売却先としてふさわしいと判断し合意に至った」という。
 日本製紙USAは現在、日本製紙の100%連結子会社である大昭和北米コーポレーション(DNAC)が全株式を保有している。DNACは北米生産会社の持株会社であり 日本製紙USAの譲渡が完了した後は、パルプの生産・販売を行う大昭和丸紅インターナショナル(DMI)の統括が中心業務となる。
 なお、今回の事業譲渡に伴い日本製紙は2017年3月期に、関係会社株式評価損として約230億円を特別損失に計上する見込みだが、決算上は相殺消去されるため連結業績に与える影響はない。

(Future 2017年3月20日号)

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