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丸富製紙/CNFを活用し芯なしTPの強度を改善


 丸富製紙はこのほど、芯なしトイレットペーパー(TP)の製造過程で、セルロースナノファイバー(CNF)を芯孔へ活用する技術を開発した(特許出願中)。芯なしTPの中心部にCNFを使用して芯孔強度を20%高める。

 芯なしTPは、利用者数が多い公共・娯楽施設で広く採用されており、インバウンド需要の後押しもあって年々需要は高まっている。また、長尺で取替え頻度を減らせるメリットから、一般家庭にも浸透しつつある。同社は、創業時から芯なしTPの製造・販売に注力しており、2015年には超長尺と呼ばれる、通常の約5倍の長さ(250m)の芯なしTP(写真)の販売を開始、現在では自社内の全生産量の約35%を占める主力カテゴリーとなっている。

 芯なしTPは、巻き芯を使用しないため省資源で、また長尺仕様のため物流時のCO2排出量削減にも貢献する。しかし、硬いため、製造や輸送の過程で力が加わってつぶれると形を復元するのが難しく、また変形するとホルダーに入らなくなったり、ペーパーを引き出す時にカラカラと音が鳴るといった課題があった。

 丸富製紙は、こうした弱点を補うためCNFに着目。一般的に芯なしTPは、鉄の棒に紙を巻き付け、水を吹いて芯孔を固めるが、同社は水の代わりにCNFを使用することで、芯孔の強度を20%高めることに成功。CNFの軽くて強い特長を生かし、中心部が変形しやすい芯なしTPの欠点を補う技術を開発した。

 同社では、超長尺製品への新技術の本格採用に向け、CNFの生産設備を増強するため、TPの製造過程で出る端材(損紙)を原料にしてCNFを作る設備を3月に増設。CNF生産能力を従来の毎時2㎏から15倍の30㎏に引き上げる。また今後は、地元である富士市のものづくり戦略の一貫として、地域に根ざした原料の開発や、異業種との連携を通じて非木材原料の採用検討など、新原料の開発にも注力していく。

(FUTURE2020年3月23日号)

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