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紙パルプ産業と環境2022

「カーボンニュートラル産業への挑戦」


 2021年1月、わが国の製紙産業は「2050年の温室効果ガス排出を実質ゼロにする」という長期ビジョンを他の素材産業に先駆けて発表、そのアグレッシブな目標設定は内外から高く評価されました。

 そしてもう一つ、製紙産業の重視している取組みが国連の提唱するSDGs(持続可能な開発目標)への貢献です。これは環境と経済を並立的・対立的に捉えるのではなく、初めから一体のものとして位置づけることにより、さまざまな社会問題を解決しようとする考え方です。具体的には17のゴールと169のターゲットを掲げており、スローガンは「誰一人、取り残さない(Leaving No One Left Behind)」というもの。17あるゴール目標のうち、例えば③すべての人に健康と福祉を ⑦エネルギーをみんなに、そしてクリーンに ⑧働きがいも、経済成長も ⑨産業と技術革新の基盤をつくろう ⑪住み続けられるまちづくりを ⑫作る責任、使う責任 ⑬気候変動に具体的な対策を ⑮陸の豊かさも守ろう―の8ゴールは、すでに紙パルプ産業が事業活動の中で貢献している項目と言えるでしょう。

 さてSDGsのゴールの一つ⑭海の豊かさを守ろう、に関連して、このところ大きな関心を集めてきたのがプラスチックごみによる海洋汚染問題です。プラスチックは人間の社会経済生活に多大な利便性と恩恵をもたらした素材ですが、紙や金属などの素材に比べ再利用される割合が低く、未利用の廃プラが不適切に処理されることによる環境汚染が深刻化しています。こうした中、日本では2020年7月にプラスチック製の買い物袋が全国で有料化されたのに続き、21年6月には「プラスチック新法」が成立、対策の対象がプラスチック使用製品のライフサイクル全体に拡大しました。今、さまざまな素材は環境への負荷が多面的に評価され、選択される時代に入っています。こうした状況下にあって、再生産可能な木材を利用し、かつ高度な古紙利用が行われている紙素材に、改めて注目が集まっています。

 一方、世界に目を転じると、製紙原料における古紙の役割は一段と重要性を増しつつあります。しかし世界最大の古紙消費国である中国が2021年から完全な輸入禁止に踏み切ったことで、古紙および段ボール原紙の国際貿易は大きな転換期を迎えました。中国は近隣のアジア諸国に古紙パルプの製造拠点を設けて再生繊維の輸入を実質的に継続する一方、製紙大手が国内や海外で木材パルプの新工場建設に乗り出しています。

 当社は長年にわたり“紙”を中心に据えた出版活動に携わってきた立場から、毎年『紙パルプ産業と環境』シリーズとして環境問題に焦点を当てた出版物を刊行してきていますが、今年の2022年版では『カーボンニュートラル産業への挑戦』と題し、業界内はもちろん関連他産業の企業をはじめ一般消費者、市民運動団体、官庁・公共機関など広範な対象の方々が紙パの実情に対する理解を深めるための有益な1冊となるよう構成・編集します。

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再生可能エネルギーや発電事業、バイオマス利用の可能性、古紙・森林の新たな課題を追う。

B5判・本文204頁

定価 2,200円(税込・送料別)

2021年8月23日

本書の内容

●ポストコロナとグリーンリカバリー
紙パの脱炭素とSDGs/循環型産業として貢献大だが求められる更なる“業態進化”
私はこう考える/資本主義・グリーンリカバリー・テクノリロケーション ─ 不確実性のなかで3つの視点から製紙産業の持続可能性を探る ─ 東京大学名誉教授(製紙科学)、日本印刷学会元会長 尾鍋 史彦
私はこう考える/北越コーポレーションのCO2削減対策について  ─ 2050年CO2排出実質ゼロへの挑戦 ─ 北越コーポレーション㈱ 環境統括部 中俣 恵一
私はこう考える/CO2排出量実質ゼロへ向けた省エネ・燃料転換と革新技術の利用 岩崎 誠

●脱プラスチックの製品開発と市場展開
私はこう考える/パッケージ素材としての紙の可能性と日本製紙の開発事例 日本製紙㈱ 紙パック営業統括部兼パッケージング研究所 野田 貴治
私はこう考える/「限塑令」が中国紙パルプ産業に与える影響 中国中軽国際工程有限公司 劉 剛

●多様化進む森林資源の有効利用と技術
インタビュー/素朴な疑問から執筆を始めた『戦後紙パルプ原料調達史』 森林総合研究所 早舩 真智 研究員
私はこう考える/わが国林政の最近の動向について ─ 森林・林業基本計画、木材利用促進法、ウッドショック ─ (一財)林業経済研究所 フェロー研究員 上河 潔
私はこう考える/バイオマスを利用したエネルギー技術とその可能性 岩崎 誠

●原料事情の変化と世界の古紙需給
インタビュー/仕入の過当競争を招く内外価格差の拡大を懸念 全国製紙原料商工組合連合会 栗原 正雄 理事長
インタビュー/製紙メーカーにとって重要度が増す原料サプライチェーンの確立 山發日本㈱ 営業部兼統括管理部 坂口 健太郎 部長
2021〜25年度の新たな古紙利用率目標/需給の国際化も考慮し65%を維持
世界の古紙需給/中国の禁輸政策がもたらしたアジア新興国の輸入・消費拡大
付表1/世界の国・地域別古紙需給(2018~19年)
付表2/世界各国の古紙回収率・利用率試算(2018~19年)
変貌するアジアの原料・製品貿易/中国製紙産業の動向に揺さぶられる日本の古紙

●データで見る紙パの環境対応
産業廃棄物対策/2025年度の最終処分量は6万tが新目標
エネルギー/着実に進展する“脱石油”へのエネルギー転換

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