書籍案内

紙パルプ産業と環境2013<特別企画>「電力、古紙、森林〜新たな課題への挑戦」

原発事故を契機に顕在化したわが国の電力危機は、東日本大震災から1年余を経て西日本地域へ拡大しつつあります。長期にわたる電力不足の不安は、日本がかつて経験したことのない事態であり、産業活動はもとより人間の衣・食・住すべてに関わる領域で直接・間接の影響が避けられません。企業にも人にも、より電力負荷の少ない活動が求められる一方、再生可能・廃棄物エネルギーの活用を今以上に進めていかなければならないでしょう。

しかしながら今日のような電力危機が叫ばれる以前から、先進的な取組みを続けてきたのが紙パルプ産業です。地球温暖化対策への貢献とエネルギー価格上昇に伴う生産コスト抑制の必要性が高まる中、紙パでは化石エネルギーから再生可能・廃棄物エネルギーへのシフトが加速しています。

3.11大震災はまた、紙パ産業の原材料である古紙や木材にも大きな影響を及ぼしました。2011年は品質に定評のある日本の古紙が海外市場で風評被害にさらされる一方、国内の紙・板紙生産も減少したため、古紙の需給は年間を通じて軟化基調でした。さらに東北・北関東地域におけるチップ・製材工場の被災と物流事情の影響から、国内材の利用が一時的に停滞しました。

世界有数の省エネ技術と古紙利用率を誇る日本が環境に配慮した復興をどう成し遂げるのか、世界が注目しています。

弊社は毎年『紙パルプ産業と環境』シリーズを刊行してきていますが、2013年版では『電力、古紙、森林〜新たな課題への挑戦〜』と題し、業界内に限らず関連他産業の企業をはじめ一般消費者、市民運動団体、官庁・公共機関など広範な対象の方々が紙パの実情に対する理解を深めるための1冊となるよう構成・編集しました。

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再生可能エネなど発電事業の可能性と省エネの取組み、古紙・森林の新たな課題を追う。
B5判・本文204頁
定価 本体2,000円(税・送料別)
2012年8月30日発行
バックナンバー
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>>2011年版
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本書の内容

● 電力自由化と紙パルプ産業
再生可能エネルギー/全量買取制度の導入でエネルギー転換本格化に期待
太陽光/メガソーラー時代に入って事業化の動きも活発
風力/発電効率がよいが普及には今後の研究開発が鍵
地熱/導入の後れ目立つが豊富なエネルギー源として有望
中小水力/建設費負担が縮小すれば工場用排水路も発電可能に
バイオマス/利用範囲は幅広いが木質系はトレーサビリティが必要
私はこう考える/わが国における電力自由化の動きと今後の課題
● 古紙問題と関連団体の取組み
特別インタビュー/(公財)古紙再生促進センター・石田隆代表理事
5年後の古紙業界を考えるシンポジウム/世界シェア10%の存在感を示そう
特別インタビュー/全国製紙原料商工組合連合会・栗原正雄理事長
● 森林・植林と紙パルプ産業
海外産業植林適地調査・マレー半島東部/大面積確保は困難もインフラは充実
海外植林地のCO2吸収量評価・認証システム/遵守市場でも活用できるクレジットを
木質バイオマス利用の課題とは/慌ただしく船出した日本版FIT制度
有望なバイオガス事業/最貧国の森林破壊防止にも貢献
● 世界と日本の原材料事情
私はこう考える/中国製紙産業における循環型への構造転換
私はこう考える/中国製紙産業の構造変化と古紙利用
日本のメーカー別古紙消費/大震災の影響が顕著に出た11年
● 製紙業界の取組み
● 私はこう考える/これからの製紙産業について─原料問題を中心とした一つの見方
エネルギーと紙パルプ産業/制度改革の進展により製紙も電力事業で新たな役割
紙パルプ産業の環境対策/「環境行動計画」策定でCO2排出量139万t削減の新目標
木質バイオマス植林の可能性/製紙連がRISIと提携し12年度に調査
エネルギー用バイオマスの炭素中立性/AF&PAが米環境保護庁に意見書提出
● 環境・CSR報告書を見る
製紙編/大震災を振り返りつつ大幅リニューアルや新機軸導入も
紙加工編/ネガティブなデータも進んで公開、中身の刷新や多様な取組みが光る
紙流通編/環境対応紙の開発・販促などでステークホルダーの信頼を得る
異業種編/先進技術で顧客の環境対策を支援するコマツ
● 資料・統計
古紙の回収率と利用率/パルプの品種分類/古紙統計分類と主要銘柄の日米比較/紙・板紙の品種分類


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