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日本製紙/豪州の子会社がグラフィック用紙から撤退


 日本製紙は、豪州とニュージーランドで板紙、クラフト紙、グラフィック用紙、段ボール、紙器を製造販売する連結子会社、Paper Australia Pty Ltd (=Opal社)が、2023年中を目途にグラフィック用紙事業から撤退することを発表した。
 Opal社の製造拠点の一つ、豪州ヴィクトリア州メアリーベール工場(=MV工場)では、グラフィック用紙、板紙、クラフト紙を製造販売しており、グラフィック用紙の主原料となる漂白パルプは、ヴィクトリア州の州有林で産出されるユーカリ材を、州100%出資の林業公社であるVicForests社(=VF社)から調達し、生産していた。今回の事業撤退は、このVF社からユーカリ材を調達できなくなったことが要因。
 VF社は、希少動物の保護に関し、2021年から環境保護団体と裁判で争っていたが、22年11月、豪州ヴィクトリア州裁判所が同社に伐採差止命令を出したことで、Opal社は同社からユーカリ材を調達できない状況になった。日本製紙とOpal社は、予期せぬ原材料の供給停止を受けて、他の原材料調達手段を検討してきたが、代替調達は不可能との結論に至り、グラフィック用紙事業からの撤退(MV工場の一部製造設備の恒久停機)を決めたもの。Opal社は今後、成長が見込まれるパッケージング事業に特化し、MV工場をパッケージング用紙専抄工場とすることで、「オセアニアにおける一貫パッケージサプライヤー戦略」を強化していく。
 事業撤退に伴い日本製紙では、23年3月期決算で固定資産の減損損失など約200億円の発生を見込んでいるが詳細は精査中。

 【撤退事業の概要】▽内容:グラフィック用紙の製造販売▽同事業の21年12月期売上高:264百万豪ドル▽停止する抄紙機:M5抄紙機(年産22万t、生産品種PPCほか)

(FUTURE 2023年3月13日号)

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