トップページ > 業界ニュース > 日本製紙、京都府立医科大学/抗ウイルス紙を開発

日本製紙、京都府立医科大学/抗ウイルス紙を開発


 京都府立医科大学大学院医学研究科の廣瀬亮平助教らと日本製紙は、銅担持TEMPO酸化セルロースを原料とする汎用性の高い抗ウイルス紙を開発した。また、この抗ウイルス紙の表面上に付着したウイルスの生存時間が大幅に減少することを実証し、抗ウイルス活性が発揮されるメカニズムを解明、同研究に関する論文は科学雑誌「Journal of Environmental Chemical Engineering」に掲載された。
 紙は不特定多数の人が直接触れる機会が多く、接触感染の媒介となる可能性がある一方、高い抗ウイルス活性を有する紙はまだ開発されていない。そこで廣瀬亮平助教らと日本製紙は、銅担持TEMPO酸化セルロースと従来の製紙用セルロースを混合し抄紙することで抗ウイルス紙を作り出し(下図)、強い抗ウイルス活性を有することを実証。抗ウイルス紙は、表面上に付着した感染性体液(ウイルス液)に銅イオンを溶出することで抗ウイルス活性を発揮することを解明した。また、抗ウイルス活性の指標パラメーターとしてウイルス生存時間を使用し、抗ウイルス表面の正確かつ客観的な性能評価方法を新たに構築した。
 実験では、抗ウイルス紙の表面に付着したウイルス(①インフルエンザウイルス ②新型コロナウイルス ③ネコリシウイルス)の生存時間はいずれも1時間未満で、一般紙と比べると、生存時間短縮率は①63~88%、②89~99%、③90~99%と大幅に短縮されることが分かった。これにより、接触感染のリスクを低減させることが期待される。

(FUTURE 2023年9月4日号)

 

ページのTOPへ