トップページ > 書籍案内 > 紙パルプ産業と環境2021 「企業成長の鍵となる SDGsと事業戦略」

紙パルプ産業と環境2021

「企業成長の鍵となる SDGsと事業戦略」


 国連の提唱するSDGs(持続可能な開発目標)への取組みが、官民を問わず一段と加速しています。これは環境と経済を並立的・対立的に捉えるのではなく、初めから一体のものとして位置づけることにより、さまざまな社会問題を解決しようとする考え方です。

 日本では2019年1月、プラスチック製品の持続可能な使用や代替素材の開発・導入を推進しイノベーションを加速させるとともに、業種を超えた幅広い関係者の連携強化を図るためのプラットフォームとして「Clean Ocean Material Alliance(CLOMA)」が設立され、紙パルプ関連業界からも多くの企業が参加しています。このCLOMAでは、「素材の提供側と利用側企業の技術・ビジネスマッチングや先行事例の情報発信等を通じた情報の共有」が活動テーマの一つになっており、紙素材側からの積極的な代替提案も行われています。

 一方、世界に目を転じると、製紙原料における古紙の役割は一段と高まりつつあります。しかし近年、アジア各国では再生資源に対する輸入規制が強化されており、その一環として低品質の古紙を市場から閉め出す動きが強まっています。世界最大の古紙消費国である中国はすでに2018年からミックス古紙の輸入を禁止していますが、さらに2020年秋以降は実質的にすべての古紙輸入をシャットアウトする方針とも伝えられます。欧米品に比べ品質上の優位性がある日本の古紙についても、例外扱いはされません。ピーク時には年間400万t超の古紙を中国へ輸出することで国内の需給バランスを保ってきた日本の製紙-古紙業界としては新たな輸出市場の開拓と併せ、異物の混入などを極小化した高品質の古紙を安定供給していく努力が従前にも増して求められます。

 弊社は長年にわたり“紙”を中心に据えた出版活動に携わってきた立場から、毎年『紙パルプ産業と環境』シリーズとして環境問題に焦点を当てた出版物を刊行してきていますが、今年の2021年版では『企業成長の鍵となるSDGsと事業戦略』と題し、業界内に限らず関連他産業の企業をはじめ一般消費者、市民運動団体、官庁・公共機関など広範な対象の方々が紙パの実情に対する理解を深めるための有益な1冊となるよう構成・編集します。

書籍購入

一覧に戻る

再生可能エネルギーや発電事業、バイオマス利用の可能性、古紙・森林の新たな課題を追う。

B5判・本文196頁

定価 2,200円(税込・送料別)

2020年9月1日

本書の内容

●ポストコロナの下でのSDGs戦略
グリーンディールの中核は循環型経済確立 積極的な環境投資で経済復興を図る欧州のポストコロナ戦略
持続可能な成長を目指す英国 環境施策の強化に向け金融のグリーン化戦略も確立
循環経済法が施行されたフランス 消費者への情報提供を重視し、製品の長寿命化で廃棄を抑制

●脱プラスチックの取組みと製品開発
製紙各社の脱プラ提案商品 “自然に還る”素材をアピールした新商品の開発・上市が加速
廃棄物管理とプラ削減に取り組むドイツ 循環経済に向け政府・企業・消費者の高い意識がルールづくりに寄与
私はこう考える 北越コーポレーション㈱新機能材料開発室長 中俣 恵一 バルカナイズドファイバーの新たな展開 ─ナノ・マイクロファイバー融合のセルロース材料
私はこう考える 中国紙パルプ研究院有限公司 郭 彩雲 中国製紙産業の新たな発展の機会となる「新プラスチック制限令」

●多様化する森林と産業との関わり
SDGsに貢献する森林・林業・木材産業 さまざまな経済主体による多様な取組みが求められる 多様な主体が参画する森林の整備と資源利用 プラスチック、金属の代替材料やCNFの領域で活発化する製品開発
FAO 世界森林資源評価2020 森林の減少速度は全般に鈍化傾向

●新たなフェーズに入る世界の古紙需給
インタビュー (公財)古紙再生促進センター 長谷川 一郎 代表理事 需給両業界の応分な負担で日本の紙リサイクルシステムを守る
インタビュー 全国製紙原料商工組合連合会 栗原 正雄 理事長 国際的な資源循環の適正化を中国に粘り強く働きかける
インタビュー ㈱トーチ・インターナショナル 龍 国志 社長いろいろな業界の人と交流し有用な情報や知見を得たい
日本の古紙需給 消費は紙向けが6年連続、板紙向けは7年ぶりのマイナス
世界の古紙需給 中国の輸入規制がもたらしたアジア新興国の古紙利用拡大
インタビュー ㈱カミーノ 深澤 幸一郎 代表取締役 「環境的に正しい」だけではダメ 人々の購買意欲をそそる商品開発を

●紙パが担う先端技術の最前線
私はこう考える 岩崎 誠 大学の研究開発に見る紙パ関連の最新技術 ─包装材・CNF・紙スマート化製品
私はこう考える ㈱エンパシード 代表取締役 平田 悟史 ナノセルロースの現状と今後の展望

●資料・統計
データで見る紙パの環境対応①/廃棄物対策:目標達成の下で次の課題は再資源化率アップ
データで見る紙パの環境対応②/エネルギー:CO2排出源単位の目標値をさらに大幅クリア
参考表 世界各国の古紙回収率・利用率試算(2017~18年)

ページのTOPへ