トップページ > 書籍案内 > 紙パルプ産業と環境2018「森と紙とエネルギーのリサイクル〜持続可能な社会への貢献」

紙パルプ産業と環境2018

「森と紙とエネルギーのリサイクル〜持続可能な社会への貢献」


米国トランプ政権によるパリ協定からの離脱というショッキングな発表にもかかわらず、世界の大勢はさらなる省エネルギーの追求や再生可能エネルギーの普及促進による温室効果ガスの削減と、それを通じて平均気温の上昇を産業革命前比+1.5℃以内に抑えようという方向に進んでいます。

わが国においてはFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)の導入が、太陽光発電事業や木質バイオマス発電事業への新規参入を促す一大契機となりました。こうした背景もあって、近年は紙パルプ産業の取組みが注目されています。わが国製紙企業が内外に保有する60万haにも上る植林地は、温室効果ガスの吸収源として地球温暖化防止に貢献。また各地の製紙工場では広大な敷地を活用した太陽光発電や、未利用木材の集荷システムとノウハウを活かした木質バイオマス発電の試み、さらに夢の素材と言われるCNF(セルロースナノファイバー)の本格的な実用化に向けたR&D投資が活発化し、新たな雇用機会を生み出すビジネスとして地域の期待を集めています。

一方、世界に目を転じると、製紙原料における古紙の存在感は一段と高まりつつあります。産業用紙向けの原料として適価かつ品質の良い古紙に対するニーズは、先進国・途上国を問わず今後も確実に高まっていくでしょう。これらを背景に古紙の国際貿易が活発化しており、中でも年間約400万t超が輸出される日本の古紙はその品質の確かさ、異物混入の少なさから海外市場でも高く評価されています。

わが国製紙産業は昨2016年、「2020年度までに古紙利用率65%の達成に努める」という新たな目標を設定しました。現状の64%から1ポイントのアップとはいえ、すでに世界最高水準にある利用率をさらに引き上げるのは容易ではありません。そのためには製紙業界、古紙業界だけでなく、消費者や需要業界、自治体などが一体となった強力な取組みが不可欠です。そして日本の古紙に対する海外からのニーズに応えつつ、国内の利用率を高めていくうえでは、オフィス古紙や機密古紙など未利用古紙の回収増強が重要なポイントになってきます。

弊社は長年にわたり“紙”を中心に据えた出版活動に携わってきた立場から、毎年『紙パルプ産業と環境』シリーズとして環境問題に焦点を当てた出版物を刊行してきていますが、今夏刊行予定の2018年版では『~持続可能な社会への貢献~森と紙とエネルギーのリサイクル』と題し、業界内に限らず関連他産業の企業をはじめ一般消費者、市民運動団体、官庁・公共機関など広範な対象の方々が紙パの実情に対する理解を深めるための有益な1冊となるよう構成・編集しました。

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再生可能エネルギーや発電事業、バイオマス利用の可能性、古紙・森林の新たな課題を追う。

B5判・本文212頁

定価 2,200円(税込・送料別)

2017年8月24日

本書の内容

●SDGsと製紙産業の取組み
SDGsとは何か/経済成長戦略の焼き直しではなく企業も消費者も変わらねばならない
製紙産業と生物多様性保全/行動指針を策定し取組みを強化 8割近くが環境NGOなどと意見交換
製紙産業の違法伐採対策/ WEBの充実や監査精度の向上が課題
私はこう考える/北越紀州製紙㈱環境統括部/同 団野武亘・中俣恵一 パリ協定の概要と今後の温暖化対策の課題

●森林認証、植林、林業
インタビュー/ FSCジャパン 前澤英士 事務局長 時代の変化に合わせFSCⓇの規定も進化していくべき
SGEC/PEFC 森林認証フォーラム/相互承認締結1年で見えてきた課題
クリーンウッド法施行/伊勢志摩サミットを機に制定 新たな段階に入った違法伐採対策
JOPPの調査研究報告/ GM樹木から森林投資まで興味深い話題をピックアップ

●世界の古紙事情と日本の課題
世界の古紙需給/コストパフォーマンスと市場の好感で増え続ける需要
インタビュー/全国製紙原料商工組合連合会 栗原正雄 理事長 日本の古紙に対する関心はさらに高まっていく
メーカー別古紙消費/メーカー・工場別で増減に大きな差が出た2016年の古紙消費
インタビュー/(一社)機密情報抹消事業協議会 大久保薫 理事長 追い風に乗りつつ地道な活動を進めていく
中国の古紙リサイクル/発展形転換で鍵を握る回収率向上
中国のミックス古紙輸入禁止措置/世界の古紙貿易ビジネスが激変
古紙国際動向セミナー/リサイクル資源産業に対する社会の再認識と共感を求めた

●紙パの技術・環境イノベーション
CNF実用化の動き/本格化する事業展開と応用製品開発
私はこう考える/岩崎誠 汚泥の減容化技術について
私はこう考える/国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所木材加工・特性研究領域木材乾燥研究室室長 吉田貴紘 高性能木質バイオマス燃料「トレファクション燃料」の技術開発動向

●資料・統計
データで見る紙パの環境対応①/廃棄物対策:最終処分量は15.2万tで目標をクリア
データで見る紙パの環境対応②/エネルギー:進展する燃料転換と温暖化対策
データで見る紙パの環境対応③/木質バイオマス:産業界をリードする紙パのエネルギー利用
資料 わが国の古紙回収率と古紙利用率

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