トップページ > 書籍案内 > 紙パルプ産業と環境「エネルギー、バイオマス、古紙、植林~持続可能性へのチャレンジ」

紙パルプ産業と環境

「エネルギー、バイオマス、古紙、植林~持続可能性へのチャレンジ」


3.11東日本大震災で顕在化した、わが国のエネルギー需給をめぐる深刻な状況は今なお続いています。2012年7月には再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)がスタートしものの、従来型の化石燃料や原子力の代役を務めるにはまだまだ力不足です。

そうした中で紙パルプ産業の取組みに注目が集まっています。製紙企業が内外に保有する68万haにも上る植林地は、温室効果ガスの吸収源として地球温暖化防止に貢献。また各地の製紙工場では広大な敷地を活用した太陽光発電や、未利用木材の集荷システムとノウハウを活かした木質バイオマス発電の試みが活発化し、新たな雇用機会を生み出すビジネスとして地元からも期待を寄せられています。

一方、世界に目を転じると製紙原料に占める古紙のウエイトは一段と高まりつつあります。とりわけ製紙産業が勃興期にある途上国では、段ボールや白板紙など産業用紙向けの原料として安価かつ品質の良い古紙に対するニーズが高まっています。これらを背景に古紙の国際貿易が活発化しており、年間約500万tが輸出される日本の古紙はその品質の確かさ、異物混入の少なさから海外市場でも高く評価されています。縮減傾向にある国内需要を考慮すれば、今後とも"J-BRAND"古紙として品質を維持していくことが、売り先の選択肢を増やし国内の余剰化を防ぐための有効な手立てと言えるでしょう。

さらに古紙の需給両業界にとって喫緊の重要課題となっているのが持ち去り行為の根絶です。古紙持ち去りは民間の経済活動として成り立っている紙リサイクルシステムを揺るがす、反社会的な行為にほかなりません。紙リサイクルシステムの恩恵を受ける全プレイヤーが関心を寄せ、根絶に向けて行動していく必要があります。

弊社は毎年『紙パルプ産業と環境』シリーズを刊行してきていますが、今夏刊行予定の2015年版では『エネルギー、バイオマス、古紙、植林~持続可能性へのチャレンジ』と題し、業界内に限らず関連他産業の企業をはじめ一般消費者、市民運動団体、官庁・公共機関など広範な対象の方々が紙パの取組みや実情に対する理解を深めるための1冊となるよう構成・編集しました。

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再生可能エネルギーや発電事業、バイオマス利用の可能性、古紙・森林の新たな課題を追う。

B5判・本文196頁

定価 2,200円(税込・送料別)

2014年8月25日発行

本書の内容

● 高度バイオマス産業としての紙パ(1)エネルギー
エネルギー対策と新事業の展開/再生可能エネルギーの事業化が鍵に
Topics/省エネ、燃料転換、森林管理が3本柱の製紙連「温暖化対策シンポ」
私はこう考える/戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業の経緯と今後

● 高度バイオマス産業としての紙パ(2)素材
新たな素材産業を目指して/木質バイオマスから機能材料を生産
紙パ企業のCNF事業/研究から実用化への本格的取組みに
ナノセルロースフォーラム設立/“オールジャパン”で世界をリード
私はこう考える/高度バイオマス産業創造戦略 素材革命─セルロースナノファイバーで世界は変わる
私はこう考える/「バイオプロダクション次世代農工連携研究」と拠点形成への展望

● アジアの古紙需給と日本
インタビュー/古紙再生促進センター代表理事 岩瀬広徳氏
私はこう考える/中国における古紙の回収・利用状況と今後の課題
インタビュー/全国製紙原料商工組合連合会理事長 栗原正雄氏
インタビュー トーチインターナショナル 代表取締役社長 龍 国志氏
メーカー別古紙消費量 上位は不動も下位で変動した2013年

● 世界の原材料事情
海外木質バイオマス植林実施可能性調査/日本向けに供給可能な国は限られる東南アジア
世界古紙需給/輸入で世界貿易の半分、消費で3分の1を占める中国
世界各国の古紙回収率・利用率試算
世界の国・地域別古紙需給(2011~12年)

● 環境・CSR報告書を見る
製紙企業編/広がる社会との関わり、地域貢献や労働災害抑制に注力
紙加工編/グローバル化に対応した紛争鉱物の不使用や文化・慣習への配慮など
紙流通編/読みやすさを追求し内容の個性化・差別化を図る

● 資料・統計
古紙の回収率と利用率
パルプの品種分類
古紙統計分類と主要銘柄の日米比較
紙・板紙の品種分類

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