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日本製紙連合会/廃棄物対策フォローアップ結果を公表


 日本製紙連合会はこのほど、2021年度「環境行動計画(廃棄物対策)」のフォローアップ調査結果(2020年度実績)をまとめた。

 それによると、産業廃棄物最終処分量は有姿量で6.9万t、業界独自目標の有効利用率は98.4%で、いずれも目標を達成。また、資源循環を高める取組みとしてPS(ペーパースラッジ)の製紙原料への再利用の拡がりが確認された。

 製紙連合会は経団連の取組みに呼応して、1997年に「環境に関する自主行動計画」、2012年には「環境行動計画」を策定し、環境方針の1つとして「循環型社会の実現」を定めた。会員企業はその方針に基づき、産業廃棄物の最終処分量削減と有効利用を推進しており、現在は20年度までに最終処分量を有姿量で13万tまで削減(00年度実績比で76%削減)することなどを目標としている。

 ちなみに、経団連は97年から環境自主行動計画(2016年から循環型社会形成自主行動計画に名称変更)を策定し、産業界全体での産廃最終処分量削減を掲げた。これまで4次にわたって目標を深掘りして取り組み、現在の目標は「20年度に00年度実績比70%削減」である。同計画には製紙連合会を含め45業種が参加し、業種ごとに目標を設定、19年度の実績では00年度実績から77.8%削減し目標を達成している。また、21年度以降の第5次目標は「25年度に00年度実績比75%程度削減」などとなっている。
 なお、製紙連合会のフォローアップ調査結果は以下の通り。

 〔2020年度目標〕
 (1)産業廃棄物最終処分量の目標値:20年度までに産業廃棄物の最終処分量を有姿量で13万tまで低減。
 (2)業界独自目標:有効利用率の現状維持(14年度実績97.0%)に努める。
有効利用率=(発生量-最終処分量)発生量×100
 (3)資源循環の質を高める取組み:生産工程における効率改善を図るとともに、難離解古紙の利用技術やサーマルリサイクルの有効活用など、原料・燃料に関する技術開発を推進。

 〔フォローアップ調査結果〕
 (1)フォローアップの前提となる産業廃棄物の発生量(20年度)
20年度の紙・板紙生産量は、新型コロナウイルス感染症の影響等により対前年度対前年度9.5%減と大きく減少。産業廃棄物発生量は対前年度10.4%(48.9万t)減少し、421.9万tであった。
 (2)調査対象・項目など
 調査対象:37社103工場・事業所(非会員の協力会社8社16工場・事業所を含む)
 回  答:36社102 工場・事業所(回答があった102工場・事業所の20年度における紙・板紙生産シェアは、調査対象会社合計の99.9%、全製紙会社合計の89.2%を占める)
 調査年度:2020年度
 調査項目:工場・事業所別の産業廃棄物の最終処分量、有効利用率、発生量、減容化量、再資源化量、有効利用先
 (3)20年度実績
 ① 産業廃棄物発生量
 発生量は421.9万t・対前年度から48.9万t減少。減少の要因として、20年度における紙・板紙生産量が新型コロナウイルス感染症の影響などにより対前年度9.5%減と大幅なマイナスとなったことが挙げられる。
 ② 減容化量
 減容化量は202.0万t。減容化量の内訳は、燃料利用を基本とするPS(ペーパースラッジ)の可燃部分が59.2万t、廃プラスチック・木くず等が12.4万tであり、残りの130.4万tは蒸発水分である。
 ③ 再資源化量
 再資源化量は213.0万t・対前年度比32.5万t減。
 ④ 最終処分量
 最終処分量は6.9万t・対前年度比0.8万t減となり、目標である13万tを6.1万t下回って達成。
 ⑤ 有効利用率
 有効利用率は98.4%で、業界独自目標の97.0%を1.4pt上回り、目標を達成。

 〔21年度以降の取組み〕
 21年度以降は25年度までの目標(20年10月度理事会で承認)として下記の達成に向けて取組みを推進。
 (1)産業廃棄物最終処分量の目標値:25年度までに産業廃棄物の最終処分量を有姿量で6万tまで低減。
 (2)業界独自目標である有効利用率の現状維持(19年度実績98.4%)に努める。

 

 

(紙パルプ技術タイムス2022年1月号)

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