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日本製紙、特種東海製紙/段原紙・クラフト紙で生販子会社設立へ


20151026
日本製紙と特種東海製紙は、段ボール原紙および重袋用・一般両更クラフト紙事業のさらなる強化を実現するため、両社の販売機能を統合するとともに、特種東海・島田工場の製造事業を分社化し、両社が共同出資することで基本合意に達した。今後は来年4月の最終合意に向け、引き続き具体的な検討を進めていく。
両社は10月7日付ニュースリリースのなかで、この事業提携に至った背景を次のように説明している。
日本製紙「製紙業界においては、古紙価格の高止まり・円安による原燃料価格上昇など、厳しい事業環境が続いており、今後もコスト・品質競争がますます激しくなると認識している。このような環境認識のもと、当社と特種東海製紙は対等の精神に則り、段原紙・クラフト紙事業で提携するとともに販売機能を統合し、特種東海製紙・島田工場のコスト・品質競争力強化および効率的販売体制の構築ならびにサービスの強化を図るべく、本事業提携に係る基本合意書を締結した」
特種東海製紙「紙パルプ業界を取り巻く事業環境は、少子化に伴う人口減による国内紙需要の低迷、設備過剰による市況の悪化、古紙をはじめとした原材料の高騰によるコストアップなど、厳しい状況が続いている。
このような状況下、当社は成長戦略の一環として、同業他社や他産業と事業別に提携することも視野に入れながら、市場ニーズに素早く応えるべく、企業経営を行ってきた。そうした中で、段原紙・クラフト紙事業を重要な分野と位置づける当社と日本製紙は、両社の有する生産ノウハウの結集と販売機能の統合による効率化、および生産設備の多様化による顧客ニーズへの細やかな対応が同事業の競争力強化に必要と判断した。
また、それにより当社島田工場がその独自性を一層発揮し、さらなる成長を遂げ、ひいては当社の企業価値向上に繋がるものと判断し、本事業提携の検討を開始することとした」
次に両社が共通に掲げる事業提携の目的は、以下に掲げる①~④の項目。ただし、これらのうち①~③が「実現を目指す」としているのに対し、提携範囲の拡大を意味する④は「可能性を検討」の表現にとどまっており、他とは区別されている。
① 本事業に関する両社の生産ノウハウを結集し、島田工場の生産機能を最大限に活かしつつ、両社協力のもと、同工場における製品の生産効率および品質競争力の向上ならびにコスト削減を実現すること
② 両社の本事業における販売機能を統合し、効率化することでコスト削減を実現し、需要家に資する競争力ある販売体制を構築すること
③ 原材料、燃料、資材などの共同調達により両社の本事業における競争力を強化すること
④ 本事業提携を端緒とし、将来的には家庭紙および特殊紙の分野においても提携によるシナジーを実現することで両社の競争力を強化し、ひいては両社の製品ユーザーへの利益となるような戦略的パートナーシップを構築すること
続いて事業提携の形態は次のようになる。
(1)島田工場の分社化および新製造会社に対する日本製紙の出資
特種東海製紙は、新設分割その他の方法により島田工場を子会社化し、新製造会社を設立する。日本製紙は、新製造会社による第三者割当増資の引受けなどの方法により、その株式を取得。特種東海製紙が新製造会社株式の50%超を、日本製紙が33.4%以上50%未満を保有し、前者の連結子会社かつ後者の持分法適用会社となることを想定している。商号や具体的な分社化の手法、新製造会社の分割対象資産、日本製紙の出資金額と株式持分比率については今後の両社の協議により決定する。
(2)日本製紙および特種東海製紙の本事業における販売機能統合
日本製紙と特種東海製紙は、それぞれの持つ段原紙・クラフト紙事業の販売機能を共同新設分割の方法により統合し、新会社を設立する。日本製紙が新販売会社株式の50%超を、特種東海製紙が33.4%以上50%未満を保有し、前者の連結子会社かつ後者の持分法適用会社となることを想定している。こちらも(1)と同様、商号や具体的な株式持分比率、新設分割対象資産などについては、今後の両社協議により決定するとしている。
写真は10月7日、都内で開いた共同記者会見で握手する日本製紙・馬城社長(左)と特種東海製紙・三澤社長。

(以下、詳報はFuture 2015年10月26 日号)

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