業界ニュース

アジア紙パ会議/中国・厦門で開催
 「持続可能な発展のための〜」と冠した第3回アジア紙パルプ産業会議が10月16日〜18日の3日間、中国・厦門市で開催され、ホスト国の中国を含む7ヵ国から122名が参加したが(写真)、日中関係悪化の影響を受け、日本の出席は日本製紙連合会の事務局4名のみにとどまった。
 このため、当初予定されていた16日の本会議における日本側の挨拶と発表(@製紙産業の現況報告/芳賀義雄・製紙連会長<日本製紙社長> A製紙原料資源と古紙回収システム/岸本晢夫副会長<北越紀州製紙社長> Bエネルギー需要と持続可能なエネルギー利用に向けた取組み/鈴木邦夫副会長<三菱製紙社長>)は、すべて羽山正孝理事長ら事務局が代行する異例の事態となった。
 製紙トップが参加を取りやめた理由について、事務局では「安全性の確保に対する担保を中国造紙協会(CPA)側に求めてきたが、先方は『担保する』とも『しない』とも言わず、ただ『決めるのは日本』との立場を表明するだけだった。身の安全に関する言質が取れない以上、各社トップの参加は見送らざるを得ないと判断、『きわめて残念』という芳賀会長の言葉とともに事務局のみが参加する意向をCPAに伝えたところ、『困難な決断であったことを理解し尊重する』との返答があった」(羽山理事長)と説明している。
 2国間ではなく多国間の会議であったことから、日本の不参加という最悪の事態は回避されたものの、今後に向けて課題としこりを残したと言える。アジアで領土問題を抱えているのは日中間だけではないからだ。だが見方を変えれば、そうした中でも2014年の台湾開催が決まったことは一つの収穫かもしれない。2年後に向け「アジアの製紙産業が共通に直面する課題について、率直な意見交換を通じて問題解決の道筋を探る」という会議の原点に立ち返る必要があるだろう。

(以下詳細はFuture 2012年11月12日号)

日本製紙グループ/4社合併で新生「日本製紙」が発足
 日本製紙、日本大昭和板紙、日本紙パック、日本製紙ケミカルの4社は、かねて予定していた通り10月1日付で合併、新生「日本製紙」が発足した。これにより、今後の成長事業分野への迅速な経営資源配分が可能となり、グループとして急速に変化する事業環境に対応しつつ、さらなる企業価値の向上を図る体制が整った。
 なお同社は同日付で板紙事業本部、紙パック事業本部、ケミカル事業本部を新設、計11本部の組織体制となった。

(Future 2012年10月22日号)

王子ホールディングス/タイの紙器・段ボールメーカーを買収
 王子ホールディングスは10月1日、タイの紙器・段ボールメーカーBox Asia Group International Co., Ltd.(以下、Box社)の全株式を取得する株式売買契約を締結した。また翌2日には、同じくタイの S.PACK & PRINT PUBLIC COMPANY LIMITED(以下、S.PACK社)の株式の27%を追加取得した。S.PACK社については、昨年3月末に23.33%の株式を取得しており、今回の取得分と合わせた持株比率は50%超となるため、タイの証券取引法に基づき公開買付を実施する。
 王子グループは現在、東アジア市場の一体化に備えた体制を確立すべく、海外展開を 推進している。 昨年から事業参画したS.PACK社に今回のBox社を加え、 タイの紙器・段ボール市場で王子グループの位置づけを高めたい考え。 また、タイ南部のS.PACK社、タイ東部のBox社という地の利を生かし、周辺国にある王子グループ事業会社との協調も図っていく。
<Box社の概要>
〔所在地〕ラヨーン
〔設立〕1996年2月
〔事業〕紙器、美粧段ボールの製造販売
〔従業員数〕約200名
〔直近の業績〕10年売上高2億9,700万バーツ(7億円)、11年売上高2億9,700万バーツ
<S.PACK社の概要>
〔所在地〕ハジャイ、バンコク
〔設立〕1994年4月
〔事業〕紙器、美粧段ボール、一般段ボールの製造販売
〔従業員数〕約500名
〔直近の業績〕10年売上高11億4,300万バーツ(29億円)、11年売上高11億100万バーツ(28億円)

(Future 2012年10月22日号)

王子マテリア/富士地区に新ボイラー設置し重油削減と売電強化へ
 王子マテリアは、富士第一工場に新ボイラーを設置する。投資額は90億円、稼働予定は2015年3月。これにより、重油使用の削減と電力の外部販売を進める。
 新ボイラーの使用燃料は、未利用木材などの木質バイオマス燃料、RPF、石炭などで、蒸気発生量は230t/h。王子グループはグループ資源を活用した資源環境ビジネスの拡大を目指しており、その中でも発電事業は柱の一つ。新ボイラーもその一環で、これにより山林未利用材などを有効利用するとともに、重油使用量の大幅削減を図る。また、余剰電力の外部販売を実施し、電力事業を強化する。
 王子グループでは、「今後もバイオマス燃料だけでなく太陽光、水力、地熱、風力などを活用した発電事業を拡大する」としている。

(Future 2012年10月22日号)

北越紀州製紙/仏・デュマ社を買収し特殊紙の欧州展開を強化
 北越紀州製紙は9月14日、フランスのFINANCIERE BERNARD DUMAS S. A. S(以下、デュマ社)の全株式を取得した。
 デュマ社は近年、ガラス繊維シート分野の専業メーカーとして事業を展開、また現在はガラス繊維を原料とした鉛蓄電池用セパレータおよび空気清浄用フィルターを製造販売している。特に鉛蓄電池用セパレータは、欧州を中心に高いシェアをを持つ。「ガラス繊維を原料とするシート」は両社共通の分野であり、両社の製品を合わせると世界シェア第2位のグループとなる。また、製造技術を相互活用することで、新たな技術開発の可能性にもつながる。北越紀州製紙は、特殊紙事業のグローバル化のため、今回の買収を決めた。
 鉛蓄電池は、自動車用のみならずデータセンターや通信設備などの無停電装置や、太陽光・風力など再生可能エネルギーの蓄電設備用途に需要が世界的に拡大している。北越紀州製紙は、デュマ社を通じて欧州市場に参入すると同時に、デュマ社の技術やノウハウを活用して長岡工場で鉛蓄電池用セパレータを生産し、国内外へ販売展開していきたい考え。また空気清浄用フィルターについても、両社間の技術・ノウハウを共有していく。
 なお、今回は特殊紙分野での先行的な取組みとなったが、北越紀州製紙としては今後も、全事業でグローバル展開を進めていく方針。
<デュマ社の概要>
〔所在地〕ドルドーニュ県クレッス
〔設立〕1924年
〔事業〕鉛蓄電池用セパレータおよび空気清浄用フィルターの製造・販売
〔従業員〕55名(2011年12月末)
〔直近の業績〕10年売上高1,661万8,000ユーロ(16億6,000万円)、11年売上高1,709万2,000ユーロ(17億1,000万円)

(Future 2012年10月22日号)

北越紀州販売/北新紙商事の事業を譲受
 北越紀州販売は、10月1日付で北新紙商事の事業の一部(紙パルプ製品などの販売代理店事業)を譲り受けた。
<北新紙商事の概要>
〔代表者〕新野雅史代取社長
〔本店〕東京都港区南青山2−22−2
〔資本金〕3,000万円
〔主な事業〕工業・産業用特殊紙、機能紙、フィルムなどの販売事業

(Future 2012年10月22日号)

日本製紙グループ本社/東京・北区の土地を52億円で売却
 日本製紙グループ本社は、日本製紙が東京・北区に所有する土地(4,195.34u。賃貸用不動産:テニスコート、駐車場)を52億円で売却する。物件引渡し予定は2013年4月26日。売却益は約50億円で、14年3月期に計上する予定。

(Future 2012年10月22日号)

富士フイルムビジネスサプライ/本社を移転
 富士フイルムビジネスサプライは、10月15日から本社を富士フイルム西麻布ビルに移転する。
〔移転先〕〒106−0031 東京都港区西麻布2−26−30
〔電話・FAX〕(局番はすべて03−5468)▽代表電1700 F1709▽企画管理本部電1701 F1709▽技術本部電1703 F1712▽情報記録紙営業本部電1740 F1713▽産業機材営業本部電1771 F1720

(Future 2012年10月22日号)

主要国紙・板紙生産1〜6月/中国はプラスだが欧米はほとんどマイナス
 日本製紙連合会が世界主要国製紙産業団体の統計を集計したところによると、今年1〜6月期における欧米主要国の紙・板紙生産は、11年に引き続き多くの国で前年実績を割り込んだ。
 特に欧州(CEPI)は、主要国すべてでマイナスを記録。中国は前年比プラスを堅持したが、伸び率は1桁台に鈍化している。北米は不振が続いており、カナダは2桁のマイナスとなった。品種別に見ると、グラフィック系の落ち込みが目立つ一方、段ボール原紙や衛生用紙は比較的堅調だった。
 このうち紙分野では米国が主要品種のすべてでマイナスになり、カナダも新聞用紙、印刷筆記用紙の落ち込みが激しい。欧州では衛生用紙がプラスを維持、段ボール原紙もわずかながら前年実績を上回った。中国では新聞用紙が前年の生産減少の反動からプラスに転じたが、非塗工印刷用紙はマイナスだった。これに対し板紙分野では、米国の段ボール原紙が前年比プラスを記録したのが目立つ。中国はライナー生産が前年比横ばいで、昨年の2桁伸長から様変わりした。
 価格動向については、品種による明暗のほか地域差も出ている。米国の場合、新聞用紙に関しては能力の削減と減産の継続によって価格の安定が保たれている。印刷筆記用紙分野は今春以降、横ばいで推移しているが、中質系は設備能力の削減を背景に値上げのアナウンスがされている。段ボール原紙は2010年の値上げ以降、今夏に至るまで横ばいが続く。こうした中、最大手のインターナショナル・ペーパーを筆頭に多くのメーカーが9月からの値上げを表明している。
 欧州では、グラフィック系品種で一部の上質系に価格上昇の動きが見られたが、中質系では価格の上向く気配が見られない。UPMの大規模な能力削減を機に価格修正を目指していたメーカーにとっては、目論見が外れた形となっている。
 中国においては、設備能力削減と原料高により主要品種の中で例外的に価格が上昇基調にあった新聞用紙に、安価な輸入紙の増加で変化の兆しが見られる。また昨年のパルプ価格下落に伴って急落した上級紙、上質コート紙価格は今年前半に入って比較的安定していたが、再びのパルプ価格下落で下げ基調となっている。ライナー価格も古紙価格の下落や需要の伸び悩み、新規設備の稼働により弱含んでいる。
 一方、原材料に目を転じると、1〜6月期における世界主要サプライヤー20ヵ国の市販化学パルプ出荷は、前年同期比で+0.6%の微増にとどまった(以下、断りのない限り「%」は前年同期比)。中国向けが前年同期に低迷した反動で高い伸びを示した反面、欧米向けは紙・板紙生産の低迷から▲5%の減少となった。
 パルプ価格は減産や中国の購入が拡大したことを受け、まずLBKPが上昇に転じ次いでNBKPも上昇した。しかし春先には中国でパルプ在庫の拡大を背景に国産品の価格が下がり始め、やがて国際価格も最初にNBKPが値下がり、夏場に入るとその動きがLBKPにも波及した。
 世界の古紙需給を左右する中国の古紙輸入は、1〜6月期に13.4%増加して1,502万tに達した。最大の供給国=米国品が10.2%増加し、続く上位4ヵ国(日本、英国、オランダ、カナダ)も2桁の増加となった。米国からのアジア向け古紙価格は昨秋以降、年末にかけて大きく下落。その後、一時回復したものの再び下落している。これは中国段原紙メーカーの高い在庫水準、輸出産業向け需要の低迷が要因と考えられる。

(以下詳細はFuture 2012年10月8日号で)

紙・板紙需給速報8月/新聞・衛生を除き国内出荷はマイナス
 日本製紙連合会が集計した8月の紙・板紙国内出荷は前年同月比▲4.2%の201.9万tで、3ヵ月連続の減少となった。うち紙は▲5.0%の116.0万tと5ヵ月連続のマイナス、板紙は▲3.1%の85.9万tで、前月の横ばいから減少に転じている。主要品種では新聞用紙、衛生用紙を除き軒並み前年同月を下回った。
 紙・板紙のメーカー輸出は5.2万t。前月比では横ばいも、板紙を中心にアジア向けの不振などから前年同月比では▲8.2%と5ヵ月ぶりの減少となった。
 紙・板紙のメーカー在庫は前月比+3.8万tの216.3万tと3ヵ月ぶりに増加。うち紙は4.8万tで3ヵ月ぶりのプラス、板紙は1.0万tで2ヵ月連続のマイナスと対照的だった。
 以下、主要品種の動向である。
〔新聞用紙〕国内出荷は前年同月比+5.9%の27.7万t。五輪関連イベントなどによる頁数の増加から、7ヵ月連続で前年実績を上回った。
〔印刷・情報用紙〕国内出荷は前年同月比▲10.9%の61.8万tにとどまり、5ヵ月連続の減少となった。輸入の高水準に、前年の価格修正に伴う前倒し需要の反動が加わり、昨年3月の大震災以来となる2桁の落ち込み。メーカー輸出は▲6.3%の3.5万t、主力の塗工紙を中心に5ヵ月ぶりで減少している。
〔衛生用紙〕国内出荷は前年同月比+0.2%の14.2万t。ほぼ横ばいだが製品輸入の一巡などもあって、4ヵ月連続の増加となった。
〔包装用紙〕国内出荷は前年同月比▲4.6%の6.3万tにとどまり、11ヵ月連続の減少だった。前年に実施した価格修正以降、前年割れの状態が続いている。
〔段ボール原紙〕国内出荷は前年同月比▲1.9%の68.5万t。青果物向けは一部回復も、家電向けは引き続き低調、加えて一部需要業界の在庫調整などもあり、前月の微増から減少に転じた。
〔白板紙〕国内出荷は前年同月比▲9.7%の11.2万tで、10ヵ月連続のマイナス。包装用紙と同様に、前年の価格修正以降は前年割れの状態にある。

(Future 2012年10月8日号)

王子製紙グループ/10月1日から持株会社制に移行
 王子製紙グループは、かねて公表していた通り10月1日から持株会社制に移行、王子ホールディングスの下に各事業会社を置き、旧王子製紙の各部を振り分ける形となるが、このほどその部門別構成を発表した。
 <新会社名:旧王子製紙部署名>
 ●王子ホールディングス:総務人事本部(総務部、秘書室、広報室、法務室)、環境経営本部環境経営部、新事業・新製品開発センター、研究開発本部(知的財産部、開発研究所、機能材研究所、基盤技術研究所、森林先端技術研究所、分析センター、東雲総務室)、安全本部、コンプライアンス室、内部監査室、監査役室
 ●王子マネジメントオフィス:総務人事本部人事部、経営企画本部(企画部、海外事業企画部)、経営管理本部(管理部、財務部、内部統制推進部)、国際営業推進本部国際営業部、中国事業本部
 ●王子エンジニアリング:統括技術本部技術部
 ●王子製紙:統括技術本部印刷情報メディア技術部、新聞用紙事業本部(新聞用紙部、新聞用紙技術部)、洋紙事業本部(洋紙企画業務部、出版用紙部、印刷用紙部、情報用紙部、洋紙技術部)、北海道営業支社、中部営業支社(新聞用紙部、洋紙・情報用紙部)、関西営業支社(新聞用紙部、洋紙・情報用紙部)、九州営業支社
 ●王子グリーンソース:資源戦略本部(企画管理部、チップ部、海外植林部、資源・環境ビジネス部、資材部)
 ●王子パッケージイノベーションセンター:パッケージイノベーションセンター
 ●王子マテリア:白板紙・包装用紙事業本部(白板紙部、包装用紙部、白板紙・包装用紙技術部)、北海道営業支社、中部営業支社白板紙・包装用紙部、関西営業支社白板紙・包装用紙部、九州営業支社
 ●王子イメージングメディア:イメージングメディア事業本部(イメージングメディア企画業務部、イメージングメディア営業部、イメージングメディア技術部)

(Future 2012年10月15日号)

日本製紙グループ本社/みなし節電で節電目標を達成
 日本製紙グループ本社は今夏、電力会社からの節電要請に対し、経済産業省から示された「みなし節電」スキームを全国で初めて実施、節電目標を達成した。
 みなし節電とは、節電要請している電力会社に対して需要家が自家発余剰電力の買い取りを依頼し、電力会社は買い取った分の電力を需要家の節電分と見なす制度。
 日本製紙グループは、7月2日〜9月7日の制度期間中、日本製紙八代工場の自家発電設備を活用し、関西電力管内にある同社グループの8事業所および四国電力管内にある7事業所の合計15事業所に、余剰電力約3MWを送電、これをみなし節電とした。これにより同社のみなし節電量は、目標値の1,073MWhを上回り、1,189MWhを達成した。計画達成率は関西電力111%、四国電力112%。

(Future 2012年10月15日号)

丸紅/ロシアで世界最大のNBKP工場建設を受注
 丸紅のプラント・産業機械部門は新規の植林地を保有するアンガラ製紙との間で、年産120万tのパルプ工場をロシアのクラスノヤルスク地域に建設する準備を進めている。
 丸紅がパルプ工場を建設する契約は、9月8日にウラジオストックで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)会議で、ロシアのプーチン大統領と日本の野田首相が会談した後、正式に取り交わされた。
 関係者によれば、機材調達と建設に関する2社間の合意に基づき、丸紅が35億jのパルプ工場を完成後に引き渡す契約だという。つまりプラント輸出であり、今のところ丸紅が事業に出資したりパルプの販売に関わる計画はない。このプラントは年産90万tのNBKPラインと同30万tのDPラインから成る。
 工場の建設予定地はシベリア中部地方、クラスノヤルスク近郊の都市レソシビルスク。エニセイ川の河畔に広がる土地で、同地方における木材産業の中心地である。2017年の稼働開始を目指しており、建設工事は来年初めに着工の予定。
 プロジェクトが進展することを前提にスウェーデンのセドラが昨年4月、アンガラ製紙との間でパルプ販売の代理店契約を結ぼうとしていた。PPIヨーロッパ誌によれば、この契約条件で、セドラはアンガラ製紙株式の10%を保有するか、またはパルプの販売に応じた口銭を受け取れるようになっていた。だが理由は不明ながら、最終的な契約は両社の間で調印されなかった。
 したがって丸紅は現時点で、パルプ販売代理店の有力候補でもあるが、同社の紙パ部門はこのところ、材の生長スピードの速い南半球での事業機会拡大に注力しており、ロシアのNBKPは必ずしも視野に入っていなかったと思われる。設備が稼働する2017年時点での国際的なパルプ市況など不透明な部分は多いが、南のLと北のNをうまく組み合わせて、より付加価値の高い事業を形成していけるかどうか注目される。

(Future 2012年10月1日号)

日本紙パルプ商事/本社を移転
 日本紙パルプ商事は10月9日から本社を次記に移転した。

 <移転先>
 〒104-8656 東京都中央区勝どき3-12-1
 フォアフロントタワー
 電03-3534-8522(代表)
 http://www.kamipa.co.jp/news/info/0001_120903.html

(Future 2012年10月1日号)

紙・板紙需給速報7月/メーカー輸出は4ヵ月連続のプラスに
 日本製紙連合会が集計した7月の紙・板紙国内出荷は、前年同月比▲1.7%の208.4万t。落ち幅は縮小したものの、前月に続きマイナスとなった。うち、紙は▲3.1%の116.4万tで4ヵ月連続の前年割れ、板紙は±0.0%の92.1万tと横ばいだった。主要品種では新聞用紙、衛生用紙、段ボール原紙を除き減少している。
 紙・板紙のメーカー輸出は前年同月比+16.4%の5.0万t。絶対量は依然として少ないが、4ヵ月連続の増加である。
 紙・板紙の在庫は前月比▲2.2万tの213.1万tと、前月に続き減少。うち、紙は▲1.0万tの150.1万tと2ヵ月連続の減少、板紙は▲1.2万tの62.9万tで4ヵ月ぶりの減少だった。
 以下、主要品種の動向を眺めてみよう。
〔新聞用紙〕国内出荷は前年同月比+3.2%の27.5万t。ロンドン五輪関連などの頁数増加により、6ヵ月連続の増加となった。
〔印刷・情報用紙〕国内出荷は同▲6.1%の62.4万t。一服感はあるものの輸入が引き続き高水準なのに加えて、商印向けの不振が影響し4ヵ月連続の減少となった。他方、輸出は+48.3%の3.6万t。震災前の水準には及ばないが、主力の塗工紙を中心に4ヵ月連続で増加した。
〔衛生用紙〕国内出荷は同+2.6%の14.0万t。前年にあった震災特需後の落ち込みの反動や製品輸入の一巡などもあり、3ヵ月連続のプラスである。
〔包装用紙〕国内出荷は同▲7.6%の6.2万tにとどまり、10ヵ月連続の前年割れ。落ち幅は主要品種の中で最大となった。
〔段ボール原紙〕国内出荷は同+0.6%の73.5万t。前月の減少から増加に転じたものの、ほとんど横ばいである。飲料向けは堅調だったが、天候不順の影響で青果物向けは引き続き減少、家電向けも不振。
〔白板紙〕国内出荷は同▲3.9%の11.9万tで、9ヵ月連続の減少。前年の価格修正以降、前年割れの状態が続いている。

(Future 2012年9月10日号)

王子製紙/持株会社制移行後の役員体制を発表
 王子製紙はかねて公表していた通り、10月1日からホールディング制に移行するが、このほど役員体制を発表した。ここでは王子ホールディングスの役員体制について紹介しておく。
 〔役員陣容10月1日〕
*「グループ経営委員」は旧「執行役員」からの名称変更
 代取会長、会長グループ経営委員 篠田和久
 代取社長、社長グループ経営委員−グループCEO 進藤清貴
 代取副社長、副社長グループ経営委員−研究開発本部分掌、日本紙パルプ研究所社長兼務 近藤晋一郎▽同、副社長グループ経営委員−生活産業資材カンパニープレジデント、王子パッケージイノベーションセンター社長兼務 石田隆▽同、副社長グループ経営委員−グループCFO、コーポレートガバナンス本部長、王子マネジメントオフィス社長兼務、王子アジア、王子ヒューマンサポート分掌、王子製紙管理(上海)管掌 矢嶋進
取締役、専務グループ経営委員−生活産業資材カンパニーバイスプレジデント、王子マテリア社長兼務 安藤温▽同、専務グループ経営委員−印刷情報メディアカンパニープレジデント、王子製紙社長、江蘇王子製紙董事長、王子製紙商貿董事長兼務 渡辺正▽同、専務グループ経営委員−機能材カンパニープレジデント、王子機能材事業推進センター社長兼務 東剛▽同、常務グループ経営委員−生活産業資材カンパニーバイスプレジデント、王子パックスパートナーズ社長、王子コンテナー社長兼務 渡良司▽同、常務グループ経営委員−印刷情報メディアカンパニーバイスプレジデント、王子製紙副社長兼務、物流管掌 渕上一雄▽同、常務グループ経営委員−資源環境ビジネスカンパニープレジデント 島村元明▽同、常務グループ経営委員−王子エンジニアリング社長兼務、王子ビジネスセンター、グループ環境管掌 小関良樹▽同(社外)・竹内洋▽同(社外) 秋山收
 常任監査役 神田憲二▽監査役 田井廣志▽同(社外) 杉原弘泰▽同(社外) 上野健二郎
 常務グループ経営委員−機能材カンパニーバイスプレジデント 枝川知生▽同−Oji Paper Asia Sdn. Bhd.社長 佐野成人▽同−印刷情報メディアカンパニーバイスプレジデント兼王子製紙常務 松尾洋二▽同−王子物流社長・青山秀彦▽同−王子マテリア副社長 田野弘一▽同−機能材カンパニーバイスプレジデント兼王子エフテックス社長兼王子機能材事業推進センター専務 加来正年
 グループ経営委員−研究開発本部長 福井聡▽同−コーポレートガバナンス本部副本部長兼王子マネジメントオフィス取締役 武田芳明▽同−コーポレートガバナンス本部副本部長兼王子マネジメントオフィス取締役兼王子ヒューマンサポート社長 矢田雅之

(Future 2012年9月17日号)

日本製紙/釧路工場でクラフト紙の生産体制を確立
 日本製紙は釧路工場で、クラフト紙生産のための品質・操業対策工事を完了、8月22日に竣工式を行った。昨夏に発表した「洋紙事業の復興計画」に基づく設備増強で、富士工場のクラフト紙を釧路工場に移抄するため工事を進めてきたもの。投資額は約24億円。DIP設備の改造、重袋クラフト紙の品質対応設備の設置、仕上設備の増強などを行い、新たに年間約5万2,000tのクラフト紙を生産できるようになった。

(Future 2012年9月10日号)

日本製紙/石巻工場が完全復興
 日本製紙は8月30日、東日本大震災で被災した石巻工場で、N2号抄紙機・2号塗工機の営業運転を再開した。これにより石巻工場では、復興作業を進めてきた抄紙機6台、塗工機2台すべての操業を再開し、生産能力は約85万tまで回復した。写真は操業を再開したN2号機前での記念撮影。
 同社は、「今後も『洋紙事業の復興計画』の完遂を目指し、洋紙事業の収益基盤の強化を進める」としている。

(Future 2012年9月17日号)

大王製紙/北越紀州製紙と創業家の関連会社株式の譲受取引が完了
 大王製紙は8月15日、創業家および北越紀州製紙との間で進めていた株式の譲受取引が完了したと発表した。これは@創業家が保有する大王製紙本体と関連会社の株式、創業家の資産管理会社であるファミリー企業の株式、さらに一部の関連会社が保有する大王製紙の株式を北越紀州製紙が一度買い取り、Aそのうち大王本体と大王商工の株式を除く全関連会社、ファミリー企業の株式を大王製紙が即日、同価額で買い取る、という取引(本誌7月9日号、16日号で詳報)。
 これにより、北越紀州は議決権ベースで大王製紙の株式を22.2%保有する筆頭株主となった(うち8.4%は新たに子会社化した大王商工の保有分)。また大王製紙グループの連結子会社は昨年9月末時点の37社体制へ戻るとともに、今後新たな連結子会社の増加も見込まれているが、これについては「連結財務諸表への影響を検討したうえで確定次第、報告する」としている。
 なお、今回の取引により大王は北越紀州の持分法適用関連会社となるが、適用開始の時期は未定。さらに、来年6月以降に予定されている北越紀州からの役員派遣や同社との技術提携、さらに井川雄氏の顧問就任と今後の事業計画などについても「必要に応じて報告する」と説明している。
 今回の取引完了を受け、早々と「経営統合に向け協議」の見出しを掲げる一般紙もあったが、濃淡はともかく両社の提携が国内業界に及ぼす影響は決して小さくなく、新たな再編の引き金となる可能性もある。

(詳細はFuture 2012年9月3日号)

特種東海製紙/Li-ion電池向けセパレータ量産化計画を変更
 特種東海製紙はこのほど、リチウムイオン二次電池向けセパレータの量産化計画について発表した。
 これは、環境に優しい廉価なセルロース材料100%を使用し、なおかつテーブルテストでは、微多孔フィルムや不織布と同等以上の性能を持つと評価された電池セパレータ。同社は昨秋、同セパレータの開発に成功したことを公表、以降、市場予測や新規用途開発を進め、量産方式の検討や生産技術の確立に取り組んできた。
 当初計画では、実験室レベルから一気に2012年度末からの大規模設備での生産開始を予定していたが、市場初の試みであることや、リチウムイオン二次電池のユーザー情報について多くの知見を得たことを踏まえ、まず小規模な生産設備を導入して生産技術を確立しつつ、生産性やユーザー評価を慎重に確認していくことにしたもの。このため、本格的な生産開始は約2年延期し、14年秋になる予定。
 現在はテストマシン兼小規模生産マシンの最終設計段階にあり、年明け早々に島田工場内で建設工事を起工し13年10 月には完成する予定。投資額は約10 億円。初めはテストを兼ねた小規模生産品として上市する予定だが、並行して本格的な生産機の設置場所を検討し、量産体制を構築していく。同社では、「引き続きリチウムイオン二次電池向けセパレータの開発に注力し、より一層の製品信頼性の向上と基本性能の強化を進め、実用化を目指す」としている。

(Future 2012年9月17日号)


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