業界ニュース

レンゴー/「日本パッケージングコンテスト」に入賞
 日本包装技術協会が主催する「2013日本パッケージングコンテスト」において、レンゴーの作品が包装技術賞と包装部門賞の2部門で入賞した。
 ・包装技術賞(テクニカル包装賞)
 「リサイクル対応国内最軽量シュリンクラベル」
 オレフィン原反の使用により、意匠性の高い三次元PETボトルに対応できる国内最軽量のシュリンクラベル。リサイクルの比重分離にも対応している。日本コカ・コーラとの共同開発品。
 ・包装部門賞(菓子包装部門賞)
 「キットカット味遊記」
 ご当地フレーバーをアソートしたパッケージで、開封する楽しさとともにストーリー性を表現した。パッケージを開けると日本地図が現れ、北は東北から南は沖縄まで、15種類のご当地キットカットを楽しめる。地域ごとの個別の開封部を開けると、商品とともにそのフレーバーの説明が書かれている。空港などでお土産用としても人気。ネスレ日本との共同開発品。
 ・包装部門賞(電気・機器包装部門賞)
 「LEDシーリングライトの段ボール包装(風車形緩衝材)」
 風車形緩衝材により、少ない材料で製品の背面をしっかり固定し、八角形緩衝材で全体の保護と付属品収納スペースを確保した。ユニークな形状の組み合わせにより効果的に製品を保護し、環境面と機能性を両立させた高機能緩衝包装。シャープとの共同開発品。

(Future 2013年10月28日号)

日本製紙グループ本社/溶解パルプ事業を拡大
 日本製紙グループ本社は、旺盛なレーヨン需要を受けて中国で溶解パルプの需要が拡大していることから、日本製紙の釧路工場で溶解パルプの生産を開始する。
 計画では、既存の製紙用クラフトパルプ生産設備である連続蒸解釜を転用して2012年秋から実証試験を開始、段階的に年間3万t規模まで生産を拡大する。クラフトパルプの連続蒸解釜を使った溶解パルプの生産は日本初であり、同事業計画は経済産業省のイノベーション拠点立地支援事業「先端技術実証・評価設備整備費等補助金」の対象として採択された。
 生産された溶解パルプは、衣料用レーヨン向けを中心に日本製紙ケミカルが販売していく。同社はこれまで、溶解パルプの唯一の国内生産拠点である江津事業所で、主に衣料用レーヨン向けの溶解パルプを国内外のユーザーに供給してきた。今回の生産増強により、日本製紙グループ全体で溶解パルプ事業を拡大し、高い成長性が見込める海外市場の獲得を目指す。日本製紙グループは、「今回の取組みは、これまでに培った木質資源利用技術の高度化を図り、事業領域の幅を広げていくもの。今後さらに“木”の可能性を追求し、社会ニーズに応える新しい価値を創出していく」と抱負を語っている。

新環境行動計画を策定

 また日本製紙グループ本社は、「グリーンアクションプラン2010」の終了に伴い、新しい環境行動計画「グリーンアクションプラン2015」を策定した。策定に当たっては、新たな視点として「製品ライフサイクル」「サプライチェーン」「トレーサビリティ」などを加え、目標を設定した。主な変更点と新規項目は以下の通り。
@地球温暖化対策…指標を「原単位」から「総量」へ変更。これにより化石エネルギー起源CO2排出量、化石エネルギー使用量のさらなる削減を推進する。また新規目標として、物流で発生するCO2排出量削減への取組みを掲げた。
A森林資源の保護育成…輸入広葉樹チップはすべて「認証材」とするほか、新たにトレーサビリティの充実と持続可能な森林資源調達の推進を明文化。
B資源の循環利用…廃棄物に関する指標を「最終処分量の削減」から「再資源化率」へ変更し、資源の循環利用をさらに推進。新規目標として、製造工程における水の使用量削減を掲げた。
C環境法令の順守および環境負荷の低減…「法令順守」にとどまらず、「予防的アプローチ」の観点から環境管理を強化。原材料全般や設備調達でのサプライチェーンを重視し、環境負荷の低減に努める。
D環境に配慮した技術・製品の開発…LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)の観点から、「省資源」だけでなく「環境配慮型」の製品・サービスへの要求に応える。
E環境コミュニケーション…これまでの「情報開示」から「対話」重視を目指す。

F生物多様性への対応(新規)…事業活動が生物多様性に与える影響を認識し、生物多様性に対する全社的な取組みを推進。

(Future 2012年1月16日号)

日本製紙ケミカル/東松山事業所で新コーターが竣工
 日本製紙ケミカルでは2011年12月7日、フィルムコーティング事業の生産拠点である東松山事業所で、新コーター(6号コーター)が竣工した。日本製紙グループは事業の多角化に向け、紙以外の事業強化を進めており、新コーター建設もその一つ。2010年11月に新設を決め、工事を進めてきた。投資金額は22億円。
 東松山事業所は、高度なフィルム加工技術を駆使して特徴ある機能性フィルムを生産しており、特に液晶ディスプレイ用光学フィルムは厳しい品質要求に応える製品を揃えている。液晶ディスプレイ用光学フィルムは、スマートフォンやタブレット端末市場の拡大に伴い需要増が見込まれている。新コーターは、東松山事業所で液晶ディスプレイ用光学フィルムを生産する4台目のコーターとなる。

(Future 2012年1月2日号)

日本製紙/石巻復興計画に合わせ木材チップ運搬船が入港
 日本製紙では2011年11月30日、宮城県石巻港南浜1号埠頭に、オーストラリア・ポートランドから震災後初となる木材チップ運搬船「Pro Grace=プログレイス」が、木材チップ(ラジアータパイン、ユーカリ)を満載(約2万5,200t)して入港した。
 東日本大震災により最も深刻な被害を受けた石巻工場では、9月16日に8号抄紙機、11月15日にN4号抄紙機と4号塗工機の運転を再開している。現在、洋紙の原料となるクラフトパルプの製造ラインを12月中旬から再稼働する準備を進めているが、この木材チップはその稼働スケジュールに合わせて調達したもの。
 同社では、「8月3日に発表した洋紙事業の復興計画に基づいて着実に石巻工場の復興作業を進めており、今後も順次抄紙機を再稼働させていく」としている。

(Future 2011年12月19日号)

日本製紙ケミカル/江津事業所で新パルプマシン竣工
 日本製紙ケミカルでは2011年12月1日、基幹工場の江津事業所(島根県江津市)で新パルプマシン(3号マシン)が竣工した。投資金額は63億円。
 日本製紙グループは事業の多角化に向け、紙以外の事業強化を進めており、今回の3号マシン新設もその一環。2009年12月に同マシンの建設を決定し、10年11月から工事を進めていた。江津事業所は国内唯一の溶解パルプ生産工場として、レーヨンやセロファンを製造する国内外のユーザー向けにシート形状(平判)の溶解パルプを供給してきたが、新マシンではロール形状(巻取)パルプを生産する。
木材成分(セルロース、ヘミセルロース、リグニン)の中で、紙用にはリグニン以外の成分を利用するが、化学工業用途にはセルロースの比率が高いパルプ(溶解パルプ)が求められ、シート製品はレーヨンやセロファンの原料に、一方ロール製品はセルロース誘導体(メチルセルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロースなど)の原料に使われる。3号マシンの完成によって、日本製紙ケミカルは高付加価値セルロース用途への参入を目指す。

(Future 2011年12月19日号)

日本製紙/石巻でN4号抄紙機と4号塗工機が再開
 日本製紙では2011年11月15日、東日本大震災で被災した石巻工場のN4号抄紙機と4号塗工機が営業運転を再開した。9月に再稼働した8号抄紙機に続く2台目の操業再開であり、これにより石巻工場の生産能力は約3割まで回復した。
 今後も石巻工場では、8月発表の「洋紙事業の復興計画」に基づいて復興作業を進め、順次抄紙機の運転を再開させていく予定。

(Future 2011年12月12日号)

三菱製紙/八戸工場が完全復旧
 三菱製紙ではこのほど、東日本大震災で被災した八戸工場が完全復旧した。
 八戸工場は5月下旬から段階的に生産設備を復旧、これまでに抄紙機6台とコーター3台の操業を再開させてきた。今回復旧したのは印刷情報用紙の大型抄紙機1台で、2011年11月15日から生産を再開。これにより同工場の生産量は、震災前の水準である月産6万8,000tに回復、全生産設備(抄紙機7台、コーター1台)の復旧を完了した。
 なお同社は、被災した全工場が復旧したため、11月15日付で復興対策本部を解散した。

(Future 2011年12月5日号)

日本製紙グループ本社/「エネルギー事業推進室」を新設
 日本製紙グループ本社は、電力供給をはじめとしたエネルギー事業を推進するため、2011年12月1日付で技術研究開発本部内に「エネルギー事業推進室」を新設する。
 同社グループは、多数の製造拠点で自家発電設備を備え、全エネルギー使用量の4割超を木質バイオマスや廃棄物などの非化石燃料で賄っている。電力供給の不足が指摘された今夏には、これらの自家発電設備をフル稼働して購入電力を削減するとともに、余剰電力の外部供給も実施してきた。
 懸念される電力不足に加え、来年7月からは再生可能エネルギー全量買取制度の施行も決まり、国内のエネルギー事情は大きく変化している。こうした中、同社のバイオマスエネルギーの調達力、広大な工業用地とその立地は、エネルギー事業を推進する上では大きな強み。この優位性を踏まえ同社では、エネルギー事業の専任組織を新設し、木質資源エネルギーなどの開発を含めてエネルギー事業を展開したい考え。

(Future 2011年11月28日号)

王子製紙/王子木材緑化を完全子会社化
 王子製紙は、グループ経営の効率化のため、12月20日付で王子木材緑化を簡易株式交換により完全子会社化する。株式交換に当たっては、王子木材緑化の株式1株に対して、王子製紙の普通株式0.43株を割当て交付する。
<王子木材緑化の概要>
〔本店所在地〕東京都中央区銀座4−7−5(王子製紙と同じ)
〔代表者〕宮〓治夫
〔事業内容〕木材およびその他林産物の製造、加工、輸出入、売買
〔資本金〕2億8,800万円
〔設立〕1937年8月
〔大株主〕王子製紙99.98%、個人株主3名0.02%

所在不明株主の株式を売却

 また王子製紙は、会社法に基づき所在不明株主の株式を売却する。対象株主の株主番号、氏名または名称、株主名簿上の住所、所有株式数はwebサイト(http://www.ojipaper.co.jp/ir/koukoku.html)で閲覧できる。所在不明株主からの異議申述期限は12年2月10日。

(Future 2011年11月28日号)

レンゴー/中国の合弁企業・広東聯合を独資化
 レンゴーはこのほど、中国の合弁企業、広東聯合包装有限公司(1998年設立)を、レンゴー100%出資の独資企業とした。中国側パートナーの出資持分をすべて譲り受けたもの。
 広東聯合は、広東省に進出している日本企業などの海外資本企業を主要ユーザーとする段ボールメーカー。広東省は中国国内で最も段ボール需要の大きい市場であり、レンゴーはその事業戦略の一環として、8月に香港の鴻興印刷集団有限公司の株式を取得している。今後は、広東省内における鴻興印刷集団のグループ企業と事業上の関係を築くことにより、さらに広範なパッケージング事業を展開したい考え。
<広東聯合包装有限公司の概要>
〔所在地〕佛山市順徳区容桂華口昌宝東路3号
〔法定代表者〕小澤善孝
〔総経理〕山口順一郎
〔資本金〕1,688万j(約13億4,500万円、レンゴー100%出資)
〔事業内容〕段ボールおよび美粧印刷紙器の製造販売
〔10年12月期売上高〕1億400万元(約12億8,300万円)
〔従業員数〕353名(9月末時点)

(Future 2011年11月21日号)

特種東海製紙/リチウムイオン二次電池用低コストセパレータを開発
 特種東海製紙は、リチウムイオン二次電池向けに、安価で耐熱性に優れた電池セパレータ(絶縁体)を開発した。主にハイブリッド車や電気自動車に搭載される二次電池用のセパレータとして、2012年度末を目途に生産開始する予定。
 リチウムイオン二次電池のセパレータには、主に樹脂性フィルムが使用されるが、樹脂性フィルムの場合、電池の破裂や発火を引き起こす熱暴走が発生した際の安全性(耐熱性)が問題視されていた。また、セパレータのコスト高も大きな課題となっている。
 そこで同社は、セルロースを材料とした微多孔膜を開発して耐熱性と低コストを実現、さらに特殊な技術を付与することで、二次電池向けセパレータとしての基本性能を備えさせた。
 リチウムイオン二次電池は、携帯電話やノートパソコンの電池として普及している。また、化石燃料の枯渇やCO2削減といった環境問題に対応できるエネルギー源としても期待されており、ハイブリッド車や電気自動車の駆動用として検討する企業も多い。自動車の駆動用には高い耐熱性が求められるため、同社が開発した電池セパレータのニーズは多いと見込まれる。
 特種東海製紙では、「引き続きリチウムイオン二次電池向けセパレータの開発に注力し、基本性能の向上と実用化を目指す」と述べている。

(Future 2011年11月14日号)

紙パ関連3団体/勲章受章記念祝賀会を開催
 日本製紙連合会、古紙再生促進センター、海外産業植林センターの3団体共催による今年の勲章受章者記念祝賀会が2011年12月1日、東京都内で開催され、約120名が駆けつけた。今年の受章者は春に王子製紙・鈴木正一郎会長(旭日重光章=上写真左)、秋に中越パルプ工業元社長・菅野二郎氏(旭日中綬章=同右)の2名。
 冒頭、製紙連の篠田和久会長が「お2人の偉大な功績に対して改めて敬意と感謝の意を表したい。
 3月11日に発生した東日本大震災は日本経済への影響はもとより、当業界にも大きな被害をもたらした。被災された工場も復旧もしくはその目途を示せるまでになってきているが、紙・板紙需要の回復テンポは依然として鈍く、さらには円高の進行、米国経済回復の遅れ、欧州の債務問題など日本経済そのものにも影響を及ぼす不安要因がくすぶっており、当業界を取り巻く環境は楽観視できない。
 このような厳しい状況にあるので、鈴木さん、菅野さんには長年にわたる豊富な経験をもとに、業界発展のため引き続き一層の指導を賜るようお願い申し上げる」と挨拶。
 続いて来賓を代表して経産省紙業服飾品課の坂本敏幸課長が祝辞を贈り、受章した両名が謝辞を述べた。
 日本紙商団体連合会・松谷克会長の発声で乾杯が行われた後は、受章者両名を囲む歓談の輪が広がった。

(Future 2011年12月19日号)

ASEAN紙パ会議/マレーシアのプトラジャヤで開催
 第30回目となるASEAN紙パルプ会議が去る2011年10月19〜21日の3日間、マレーシアのプトラジャヤで開催され、メンバー5ヵ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)のほか日本、韓国、台湾から総勢180名が参加した(日本は王子製紙、日本製紙グループ本社、レンゴーより各1名、日本製紙連合会より2名が出席)。
 20日の本会議では各国代表の挨拶とカントリーレポートが行われたほか、いくつかの特別講演があった。ASEAN諸国の経済は2010年にリーマン・ショックよる落ち込みから大きく回復、11年も前年ほどではないものの堅実な成長が見込まれており、紙・板紙の生産・消費とも拡大する見通し。ただし米国の景気減速や欧州の信用不安問題、タイの洪水被害など世界経済の不透明感が強まっており、先行きに暗い影を落としている。また製紙産業が直面する課題として、各国とも古紙の供給不足を挙げていた点が注目される。

(詳細はFuture 2011年12月12日号で)

富士市/製紙関連事業所を対象にアンケート調査を実施
 多くの製紙工場が集まり、製紙が地場産業として地域経済を支える富士市では、昨今の大手製紙工場の生産縮小が地域の事業所や市民に与える影響を探るため、アンケート調査を開始した。
 調査は、日本製紙グループおよび王子板紙富士工場と関連がある事業所の中から、1,000社を対象に実施。アンケートはA4判、3ページに及び、設問は○事業所の概要 ○製紙工場の生産縮小に伴うマイナス影響の有無 ○売上高への影響額 ○事業所の対応策 ○従業員の雇用調整 ○事業所が抱える問題 ○行政への要望−−などについて仔細に聞いている。

(Future 2011年12月12日号)

日本製紙/印刷出版用紙の銘柄を統合
 日本製紙は、先頃発表した「洋紙事業の復興計画」に基づき、洋紙生産設備の停機を進めていくが、これに伴い印刷出版用紙の銘柄も集約・統合する。
<銘柄集約の概要>
 以下は、生産中止(×)、ラインアップ変更(☆)、検討中(−)の銘柄。
【塗工紙(ハイグロス)】▽アルティマグロス70(☆)▽アルティマグロス65(×)▽アルティマグロス60(×)▽MIグロス60(☆)▽ペガサスWX(☆)▽ペガサス(×)
【塗工紙(グロス/ダル)】▽ネプチューン(×)▽MIシルク(×)▽プリズム(−)▽ペガサスダル(☆)
【塗工紙(マット)】
▽シルバーダイヤ(×)▽ピレデラL(×)▽ピレデラS(×)▽エナジーS(×)▽ペガサスWXマット(☆)▽ペガサスマット(×)
【塗工紙(ラフ)】▽ペガサスバルキー7(×)▽ペガサスバルキーW(×)▽ペガサスエアバルキー(×)▽ペガサスエアバルキー42(×)
【非塗工紙】▽アルプス(×)▽ホワイトランド(×)▽アンデス(×)▽フロンティタフ80(☆)
【G購入法適合紙/古紙パルプ配合率保証紙】▽リサイクルコートT−6(PEFC)(×)▽リサイクルマットT−6(PEFC)(×)▽リサイクルマット(PEFC)(×)▽リサイクルS(−)▽リサイクルSソフト(×)▽リサイクル上質(×)▽npiグリーンランド70(PEFC)(×)
【COVERS(エンボス紙、キャストコート紙)】▽npiエンボス 絹目/梨地/布目(×)▽『エスプリ』シリーズについては別途検討中
【色上質紙】▽『日本の色上質』の淡象牙、肌、白茶、濃クリーム、もえぎ、みどり、若竹、水、ブルー、うす水、むらさき、薄紅、サーモン、だいだい、しろ、銀鼠を休止

(Future 10月3日号)

大王製紙/ロシアでの輸入差止訴訟で勝訴
 大王製紙は、ロシアのAutoterminal社がベビー用紙おむつ『GOO.N』を並行輸入しようとしたことに対して、商標権侵害による差止め訴訟を起こしていたが、このほど沿海地方仲裁裁判所(ウラジオストク)が、大王製紙の主張を認める輸入差止めの判決を下した。ロシアで真正商品の並行輸入を差し止める判決が出たのは、日本企業では初めてという。
 Autoterminal社は『GOO.N』の正規輸入権利者ではなく、並行輸入業者の一つ。ロシアでは、並行輸入業者が正規代理店と錯覚させるような販売サイトを立ち上げたり、一時的に安価に商品を供給したりする問題が生じており、また過去の判例から、訴訟になれば並行輸入行為が商標権侵害と見なされる可能性が高かった。
 そこで大王製紙は今年3月、Autoterminal社を相手取り「輸入・販売またはロシア国内における市場流通の禁止」を求める民事訴訟を起こしていたもの。
 日本では、正規品の並行輸入は合法というのが通説だが、今回のロシアの判決では、「真正商品だとしても大王製紙の同意なく輸入し、販売する行為は商標権侵害に当たる」という判断がなされた。

(Future 10月3日号)

王子製紙/南米に感熱・感圧紙の製造拠点を確保
 王子製紙は9月29日付で、ブラジルの感熱紙・ノーカーボン紙製造販売会社「ピラシカバ インダストリア デ パペイス エスペシアイス イ パルティシィパソニス求v(2011年9月1日設立)を子会社化した。
 同社は、王子製紙が1989年から感熱紙、ノーカーボン紙の技術供与を継続しているフィブリアセルロース社(=フィブリア社)の100%子会社で、フィブリア社の感熱紙、ノーカーボン紙などの製造販売拠点。王子製紙はフィブリア社から、その持分100%を取得し、子会社化したもの。取得価額は約240億円。これにより王子製紙グループのイメージングメディア事業は、日本、アジア(中国・上海、タイ)、北米(米・マサチューセッツ州)、欧州(ドイツ)に 続き、南米での拠点を得たことになる。
 なお持分取得後、「ピラシカバ インダストリア」の社名は「王子 パペイス エスペシアイス求vに変更の予定。
<王子 パペイス エスペシアイスの概要>
○所在地…ブラジル・サンパウロ州ピラシカバ市
○主な生産品…感熱紙、ノーカーボン紙ほか
○主な設備…抄紙機、塗工機
○生産量…約12万t(2010年実績)

(Future 10月10日号)

三菱製紙/KJ特殊紙を子会社化し特殊紙分野でシナジー効果を追求へ
 三菱製紙は10月1日付で、当初の予定通りKJ特殊紙鰍100%子会社とした。KJ特殊紙は、葛サ人の化学紙事業が会社分割により、7月1日から同社の100%子会社として営業を開始していたもの。三菱製紙は、その全株式を興人から譲り受ける形で完全子会社とした。
 KJ特殊紙は、長い歴史の中で築き上げてきた特殊紙製造技術を背景に、高圧メラミン化粧板原紙、マスキング用テープ原紙、壁紙用裏打紙などオリジナリティに富む製品を製造・販売しており、その品質と技術力は市場から高い信頼と評価を得ている。とりわけ化粧板原紙では国内シェア80%という圧倒的な強みを持ち、テープ原紙についても高い競争力を有する。
 三菱製紙は今後、こうしたKJ特殊紙の高い技術力と自社の技術力・研究開発力を一体化し、化学紙事業にとどまらずグループの既存事業分野でもシナジー効果を発揮させ、一つの大きな特殊紙事業として育てていく考え。
<KJ特殊紙の概要>
〔英文社名〕KJ SPECIALTY PAPER Co.,Ltd.
〔本社〕静岡県富士市新橋町7−1 電0545−52−4075
〔役員〕▽代表取締役社長−社長執行役員・立花純一 ▽取締役−専務執行役員・前田 清 ▽同−常務執行役員・小林得志雄 ▽同−常務執行役員・佐藤 啓一 ▽同(社外)・水野和也(興人代取社長) ▽執行役員・村田正之 ▽監査役(社外)・板倉完次(三菱製紙取締役常務執行役員)
〔資本金〕5,000万円
〔事業内容〕化学紙(化粧板原紙、含浸化粧シート、壁紙用裏打紙、テープ原紙他)の製造販売
〔事業所〕▽富士工場(静岡県富士市新橋町7−1) ▽営業本部(東京都千代田区丸の内3−4−2)
〔従業員数〕191名
〔関係会社〕KJ紙工梶iKJ特殊紙の100%出資子会社)

(Future 10月17日号)

日本製紙/石巻・8号抄紙機が半年ぶりに操業を再開
 日本製紙は、東日本大震災で被災し復旧作業を進めていた石巻工場で、9月16日、中質紙および中質微塗工紙を抄造する8号抄紙機(日産368t)の操業を再開した。
 石巻工場は被災工場の中でも最も被害が大きく、震災後、全操業を停止していた。抄紙機本体はほぼ無傷だったものの、津波による浸水被害が甚大で、全社から重機・人員を送り込んで土砂や瓦礫の撤去を進めてきた。
 今回の8号機は、同工場で運転を再開する最初の抄紙機となる。今後も順次、2012年度上期までを目途に抄紙機・塗工機を再稼働させていく予定。

(Future 10月3日号)

三菱製紙/ 八戸で6台目の抄紙機と3台目の塗工機が生産再開
 東日本大震災で被災した三菱製紙の八戸工場は、5月24日の操業再開以降、これまでに抄紙機5台と塗工機(コーター)2台が生産を再開し、順調に生産を継続している。このほど新たに抄紙機と塗工機各1台が9月29日より生産を再開、工場主力製品の生産体制が整った。
 生産を再開したのは、同工場の大型抄紙機(塗工印刷用原紙の生産設備)1台とコーター1台で、これにより同工場では6台の抄紙機と3台のコーターが生産を再開したことになる。生産量は震災前の約90%、月産6万2,000tまで回復し、主力製品の生産体制が整ったことで復旧はほぼ完了した。残り1台の抄紙機についても、11月中旬には操業を再開する予定だ。
 なお本誌9月19日号で詳報したように、同社は先に「洋紙事業の復興」と「成長に向けての収益基盤強化」を柱とする第1次中期経営計画を策定し、この10月から取組みを開始している。
 この中計では、2013年3月までの1年6ヵ月間を、洋紙事業における早期のシェア回復と八戸工場の仕上設備効率化を中心とする「洋紙事業の復興」期間として、また13年4月以降の2年間は、財務基盤の強化・収益力確保と成長分野への経営資源投入の土台づくりを中心に「成長に向けての収益基盤強化」期間として位置づけ、15年度以降の「成長分野強化」を図る次期経営計画に繋げていく。
 なお第1次中計初年度と最終年度の計画数値は、売上高が2,000億円(11年度)→2,400億円(14年度)、営業利益が30億円→100億円、経常利益が10億円→70億円、有利子負債が1,700億円→1,500億円、D/Eレシオが3.7倍→2.6倍、従業員数が4,380人→4,186人となっている。

(Future 10月17日号)

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