業界ニュース

大王製紙/中期事業計画を策定

 大王製紙は去る8月15日付で関連会社株式の買取りが完了したことを受け、2012〜14年度を対象とする中期事業計画を策定、最終年度の売上高4,500億円、経常利益率5%という数値目標を掲げた。その一方で、期中のグループ有利子負債を582億円削減するというハードルの高い計画だが、同社では@三島工場への生産シフトによる洋紙事業のコストダウン Aいわき大王製紙の中芯マシン新設や関係段ボール会社の統合を通じた板紙・段ボール事業の強化 Bホーム&パーソナル・ケア(H&PC)事業の国内外における増産と拡販――などの施策により、十分に実現可能な目標と見ている。

(以下詳細はFuture 2012年10月1日号で)

塗工紙輸出/国別では豪州、中国向けが高い伸び
 国内需要の低迷と相対的に過剰な設備能力を背景に、塗工印刷用紙の輸出が拡大している。1〜9月の累計輸出量は上質コート紙が前年同期比+110%の36.4万t、中質コート紙が同+88%の31.3万t、合計で+99%の67.7万tとなっている。通年では90万t台を窺う形勢にあり、もちろん過去最高の実績。1〜9月の輸出比率は16%に達しており、08年の9.3%、09年の10.1%から大きく跳ね上がった。
 仕向先別では総じて平均的に高い伸びを示しているが、最も好調なのは大洋州向けで、年初から一貫して高水準をキープしている。これに対してアジア向けは7月以降、減速傾向にある。また北米向けは、4月から前年実績を上回るようになっている。
 国別の輸出実績を表1に示した。1位のオーストラリアは、数量・金額とも2割を超えるシェアとなっている。上質コート紙が前年同期比2.6倍の3.8万t、中質コート紙が同3.4倍の11.2万tという実績で、後者のウェイトが高いことからFOBベースの単価は68.4円/sと平均(75.3円)をかなり下回っている。それ以外の要因としては、突出した数量とトレードオフの関係にあることも考えられる。
 2位の中国は数量・金額とも約12%のシェア。上質コート紙で前年同期比3.0倍の3.8万t、中質コート紙で同3.8倍の4.6万tという実績である。国内塗工紙設備が過剰と言われる中国だが、日本品に対する購買マインドは高いようだ。もっとも今年は、王子製紙が南通工場塗工紙設備の営業運転開始に備えてプレセールを実施しており、その影響が現れているのかもしれない。FOB単価の71.7円/sは平均よりやや低い。
 3位の米国は数量で10%弱のシェアだが、FOB単価が95.7円/sと平均より20円以上も高いので、金額ベースでは中国を上回っている。これは上質コート紙の実績が4.3万t(前年同期比+14%)と、中質コート紙の1.3万t(+23%)より多いため。ただし本誌『ワールドレビュー』でも何度となく報じているように、米国では通商摩擦の影響から中国品とインドネシア品が事実上、市場から締め出されており、平均単価の高さは品種構成や円高影響のほか、そうした要素も勘案してみる必要がありそうだ。
 4位の韓国と5位の香港はともに8%台のシェアで、FOB単価は業界平均並み。6〜10位はニュージーランドを除き、すべてアジアが占めている。続く11〜15位もすべてアジア勢であり、16〜25位になってようやく他地域の国が増えてくる。

(以下詳細はFuture誌12月20日号に)

王子製紙/資源ビジネスを 中国で本格展開
 王子製紙は、中国での輸出入販売事業拡大の拠点として上海に販売会社を設立し、2011年1月1日から業務を開始する。
 販売会社は、日本国内外の王子製紙グループで生産するパルプを中国で販売、併せて木材製品の輸出入販売、製紙用薬品・原料の調達、情報収集も行う。すなわち、中国における“資源ビジネス”の拠点とする考え。販売会社の設立に伴い、王子通商および王子木材緑化の中国(上海)事務所は閉鎖し、業務を販売会社に統合する。
<販売会社の概要>
〔社名〕王子制紙国際貿易(上海)有限公司 日本語名:王子製紙国際貿易(上海)有限公司
〔登録資本金〕100万j(王子製紙100%出資)
〔主な役員〕▽董事長・島村元明(王子製紙執行役員−資源戦略本部長を兼務)▽総経理・追永洋

(Future誌 12月20日号)

レンゴー/中国の青島聯合を独資化
 レンゴーはこのほど、中国合弁企業の青島聯合包装有限公司について、中国側パートナーが保有する出資持分のすべてを譲り受け、レンゴーの独資企業とした。
 青島聯合は2009年7月に新工場を建設し、主要設備を一新して生産能力を倍増。新たに導入した8色プレプリント印刷機により、原紙の印刷加工と段ボールの一体工場として事業展開している。主要ユーザーは、中国の青島ビールやハイアールのほか、日本を含めた海外資本の優良企業だ。
 レンゴーは、「今後は経営のスピード化とこれまで以上のサービス向上に努め、青島地域における事業の拡充を図る」としている。
<青島聯合包装有限公司の概要>
〔法定代表者〕小澤善孝
〔新総経理〕溝口宏一
〔資本金〕1億3,400万人民元(約17億1,300万円)
〔事業内容〕原紙の印刷加工、段ボールおよび印刷紙器の製造販売
〔09年12月期売上高〕8,900万元(約11億4,400万円)
〔従業員〕224名(10年10月末)

国内では段原紙の減産を強化
 またレンゴーは、年度後半以降の経済情勢を鑑み、段ボール原紙の減産強化を決めた。
 同社はこれまで、10〜15%程度の減産を継続的に実施してきたが、年末以降の段ボール原紙の需要見通しが鈍化しているため、減産レベルを上げて12月〜1月の合計減産量を25%(約8万t)とする。

(Future誌 12月20日号)

北越紀州製紙/自社株155万株を取得
 北越紀州製紙は、自己株式155万株を6億8,095万2,000円で取得した。買付期間は11月11〜30日。
 同社は11月10日の取締役会で、発行済株式総数の1.91%に相当する400万株を上限とした自己株式の取得を決議しており、今回の買付はその1回目。なお買付総額は20億円を上限とし、12月22日までに取得を完了する。

紀州製紙と合併契約締結
 北越紀州製紙はかねて公表している通り、紀州製紙と11月26日付で合併契約を結んだ。合併方式は吸収合併で、期日は2011年4月1日。これに伴い紀州製紙は解散する。なお、同社は北越紀州製紙の100%子会社であるため、新株式の発行、資本金の増額、合併交付金の支払いはない。

(Future誌 12月20日号)

文祥堂洋紙店、金文堂洋紙店/共同販売会社 「金祥堂紙販売」を設立
 ともに東京地区の中堅紙卸商、文祥堂洋紙店(窪川篤典社長)と金文堂洋紙店(小仁所康之社長)が折半出資による共販会社「葛熄ヒ堂紙販売」を設立、12月1日付で事業を開始した。
 新会社の資本金は、設立時に両社が900万円ずつを出資し計1,800万円。このほか両社は新会社に運転資金として2,100万円ずつ、計4,200万円を貸し付ける。したがって共販会社の貸借対照表には当面、資本の部に1,800万円、負債の部に4,200万円と記載される。この貸付金は2年後を目途に資本に組み入れられ、共販会社の資本金は計6,000万円(3,000万円ずつの出資)となる予定。当初の資本金を低く抑えるのは節税のため。
 このほか文祥堂、金文堂の両社はそれぞれの不動産を除く営業資産について、時価に準ずる減価償却年数に応じた税務上の残存価格で共販会社に売却、共販会社は当初これを未払い金扱いとするが、半年後に精算する。またリースは共販会社が引き継ぐ。
 なお、新会社の本社は東京都板橋区小豆沢(旧文祥堂)に置き、神田支店を東京都千代田区三崎町(旧金文堂)に置く。決算期は9月30日。金祥堂紙販売の役員陣容は次の通り。
 〔役員陣容〕▽代取会長・窪川篤典▽代取社長・小仁所康之▽専務・矢沢博美▽取締役・小仁所節夫▽同・遠藤勝▽同・西村全史▽監査役・高橋博史
(Future誌 12月20日号)
日本製紙/燃焼灰を利用した 雑草抑制材を開発
 日本製紙はこのほど、ペーパースラッジや石炭などの燃焼灰を利用した雑草抑制材を開発した。土木工事現場での利用など、用途開発を進めて事業化を目指す。
 日本製紙グループは廃棄物最終処分量削減のため、「廃棄物の自社製品化率25%以上」という目標を掲げている。同社で発生する廃棄物は主にボイラー燃焼灰で、これまではセメント原料や路盤材などに利用してきた。しかしボイラーの増設や古紙利用の拡大に伴って灰の発生量が増加しているため、新たな資源化の道を探る必要性が生じてきた。
 その一つとして目をつけたのが、雑草抑制材だ。燃焼灰の雑草抑制効果については、宇都宮大学雑草科学研究センターの小笠原勝教授に確認してもらった。ペーパースラッジ灰などボイラー燃焼灰の造粒物は、水を吸う力が強い。このため雑草の種や根に本来供給されるはずの水を吸収、これにより雑草の繁殖を抑制する。また、日本製紙が開発した有害成分の溶出抑制技術を用いて雑草抑制材を作れば、環境にやさしい資材にもなる。

(Future誌 12月20日号)

森林総合研究所/ 「第8回環境研究 シンポジウム」で講演
 森林総合研究所など環境研究を行う12研究機関で構成される環境研究機関連絡会は11月17日、東京・千代田区の学術総合センターで、第8回環境研究シンポジウム「わたしたちの生活と環境−地球温暖化に立ち向かう−」を開催した。
 シンポジウムでは、「低炭素型ライフスタイルへの転換」と題した基調講演と、各機関による講演およびポスター発表が行われた。森林総合研究所では、構造利用研究領域の恒次祐子氏が「木材製品の利用による適応策−木材製品利用によるCO2削減効果の定量的評価−」について講演したほか、熱帯雨林の炭素吸排出量のモニタリングや、気候温暖化による針葉樹類生育域への影響予測など、8件のポスター展示を行った。

(Future誌 12月20日号)

テトラパック/超高温殺菌乳製品用の直接加熱ユニットを発売
 テトラパックはこのほど、UHT(超高温殺菌)乳製品用の直接加熱ユニット『テトラ・サーム・アセプティックVTIS(Tetra Therm Aseptic VTIS)』を発売する。

(Future誌 12月13日号)

リンテック/つなぎ目の問題解消のホログラムラベル素材を発売
 リンテックは11月15日、ホログラムラベル素材の新製品『ホログラスター2010』を新発売した。
 『ホログラスター2010』の特徴は、ホログラムの課題であった「つなぎ目」を分かりにくくし、光の反射を滑らかな一枚柄として表現できるようにしたこと。これにより、ラベル印刷時の生産ロスも低減する。
 光の干渉を利用し、角度によって色が虹色に変化して見えるホログラムには、図柄を立体的に見せるタイプや図柄のないタイプがあり、その意匠性を利用したデザインラベルのほか、クレジットカードなどの偽造防止用にも用いられている。
 一般的なホログラムは製造工程上、版の「つなぎ目」が生じるという課題があった。しかし『ホログラスター2010』は、「つなぎ目」が分かりにくいフラットパターンを採用。同時に、黒点が目立つという課題もクリアし、さらに高輝度を実現した。新技術で開発したフラットパターンホログラムが、光の反射を滑らかな一枚柄として表現する。版のつなぎ目が分かりにくいため、ラベル印刷後の検品が不要で生産ロスの低減にも寄与し、ラベル印刷時のコストパフォーマンスが大幅に向上する。
 またホログラム特有の黒点が少ないので、広い面積のラベルにも利用可能で、デザインの自由度が高く、優れた意匠性を発揮する。高輝度でアイキャッチ効果にも優れ、類似商品とのパッケージの差別化に最適なため、同社では、アイキャッチラベルや化粧品の表示用ラベル、キャラクターシールなど幅広い用途での採用に期待を寄せている。
(Future誌 12月13日号)
日本製紙クレシア/至高シリーズの新製品・最高級ティシュ『羽衣』を発売
 日本製紙クレシアは11月22日、究極のやわらかさを実現したティシュの最上位品として、クリネックスティシュー至高シリーズ『クリネックスティシュー至高「羽衣(はごろも)」』を、オンラインショップ(http://www.crecia.co.jp/shop/index.html)で新発売した。価格は3箱入3,150円(税込)。
 至高シリーズは、厳選されたパルプを原材料に抄紙工程、加工工程などすべての面にこだわり、究極のやわらかさとしなやかさを追求した最高品質ティシュ。2008年11月の発売以来、高品質志向のユーザーに支持され、贈答品としても利用されている。
 シリーズ新製品の『クリネックスティシュー至高「羽衣」』は、天女がまとう羽衣のように軽やかなティシュを重ね、今まで以上にふっくらとした、それでいて絹のようなしなやかさを実現した。
 これまでの『至高』は3枚重ねだったが、『羽衣』では究極に薄く仕上げた1枚を4枚重ねにし、それぞれのシートの間に出来る空気層がふっくら感を実現。繊維が長く、強靭かつしなやかさを特徴とするアバカ(マニラ麻)と、ふっくらすべらかな肌触りのユーカリパルプという厳選された原材料を配合し、シート表面をキメ細やかに仕立てることで、これまでにないすべらかな肌触りとなった。
 なお、パッケージに書かれた“羽衣”の文字は、シリーズの元祖である『至高』と同様、書家・武田双雲氏の筆。

(Future誌 12月13日号)

日本製紙グループ本社/中国2位の理文と業務提携、株式取得
日本製紙グループ本社が中国第2位の段ボール原紙メーカー、理文造紙有限公司(リー & マン)との業務提携に踏み切るとともに、12%の株式を取得する。6月22日開催の取締役会で決議し、同日付で業務提携契約と株式譲渡契約を締結した。株式の取得日は6月30日の予定。
この業務提携と株式取得により、日本製紙グループは成長著しい中国市場において成長の原動力を獲得したことになる。業務提携の内容は以下の通り。
(1) 技術交流およびコスト削減…日本製紙グループ本社からの技術者派遣やノウハウの提供により、L & M 社の生産管理体制強化、製造効率向上とコスト削減、さらに中国市場における高付加価値品の開発に取り組む予定。
(2) 人材交流(取締役の派遣)…業務提携契約の目的を実現するため、日本製紙グループ本社の代表取締役1名を含む2名がL & M社の取締役に就任する予定。このほかにも、両社の人的関係を強化するための人材派遣・出向などを計画している。
(3) 新商品・新規事業分野および研究開発活動における協力…業界および研究活動の動向、特に将来の研究開発の可能性に関して、共同で検討していく。
(4) その他…業務提携内容のさらなる詳細については今後、両社の代表者から成るSteering Groupを直ちに設立し、鋭意検討を進めていく。
一方、株式については、L & M社の筆頭株主であり、創業者一族が所有する資産管理会社、Gold Best Holdings Ltd.から相対取引で取得する。取得株式数は全発行済み株式総数の12%に当たる5億4,615万3,559株で、取得価額は約35億5,000万香港ドル(邦貨約426億円)。

(詳細は Future誌 6月28日号 で)

レンゴー/上海聯合を独資化
レンゴーはこのほど、95年に設立した中国の合弁企業、上海聯合包装装〓(“さんずい”+“黄”)有限公司を、レンゴー100%出資の独資企業とした。中国側パートナーから出資持分をすべて譲り受けたもの。上海聯合の主要ユーザーは、日本をはじめとした海外資本の企業。
レンゴーは、「今後は経営のスピード化とこれまで以上のサービス向上に努め、上海地域での事業拡充を図る」としている。<上海聯合の概要>
○所在地…上海市浦東新区金橋出口加工区金湘路1111号
○法定代表者…小澤善孝
○新総経理…片岡郁夫
○資本金…2,500万ドル(約22億9,200万円)
○事業内容…段ボール、段ボールケース、紙管の製造販売
○09年12月期売上高…1億2,700万元(約17億2,700万円)
○従業員…250名(10年5月末)

(詳細は Future誌 6月28日号 で)

レンゴー/自社株275万株を取得
レンゴーはこのほど、自己株式275万株を15億292万8,000円で取得した。買付期間は5月14〜31日。レンゴーは5月13日の取締役会で、9月末までに発行済株式総数の3.7%に相当する1,000万株を、60億円を上限に取得すると決議しており、今回の買付はその一部。

三菱製紙/買収防衛策を継続
三菱製紙は07年6月の株主総会で承認された買収防衛策の有効期間が満了するのにともない、買収防衛策の継続を決めた。新プランは、現行プランを一部変更して継続、6月29日の株主総会で承認後、効力が生じる。
新プランに基づく独立委員会のメンバーは次の通り。
片岡義広(弁護士。片岡総合法律事務所パートナー、三菱製紙独立委員会委員)▽品川知久(弁護士。森・濱田松本法律事務所パートナー、三菱製紙社外取締役、三菱製紙独立委員会委員)▽竹原相光(公認会計士。ZECOOパートナーズ共同事務所代表公認会計士、三菱製紙一時会計監査人、三菱製紙独立委員会委員)

(詳細は Future誌 6月14日号 で)

特種東海製紙/7月1日付で商号を正式変更
特種東海製紙(特種東海ホールディングス)は4月1日付で特種製紙と東海パルプを吸収合併し、それ以降「特種東海製紙」を通称として使用しているが、6月24日の株主総会での決議を経て、7月1日から正式商号とする。

(詳細は Future誌 6月14日号 で)

新生紙パルプ商事/植林プロジェクト支援で紙類購入金額に1%加算
新生紙パルプ商事は紙代理店としての新しい環境配慮スキーム「1% for PresentTree」の提案を行っている。ユーザーが購入する紙やフィルムなどの金額に 1% を加算し、その 1% 分を特定非営利法人(NPO)環境リレーションズ研究所が運営する植林プロジェクト「PresentTree」に支援することで、森林を再生する環境貢献に参加しようというもの。
取組みに参加した企業・団体には、環境リレーションズ研究所の商標登録マークの表記が認められる。このスキームのポイントは以下の5点。
(1) 自分の「貢献」が目で見える…シリアルナンバーで木を1本ずつ管理する。
(2) 苗木だけでなく、森林再生の全体を見通している…最低10年間の保育管理を実施する。
(3) 持続参加型である…万が一枯れた場合でも元気な木と交換する。
(4) 市民参加型の広がりを強く意識している…自分の環境貢献を贈り物にできる。
(5) 企業の参加により森林再生を加速させる…消費を通じた環境貢献である。

(詳細は Future誌 6月21日号 で)

日本製紙連合会/「低炭素社会実行計画」で未利用林地残材を活用
日本製紙連合会は6月20日開催の理事会で、事務局の作成になる「製紙業界の低炭素社会実行計画(案)」を承認した。昨年12月に日本経団連が、現在の「環境自主行動計画」に続く新たなスキームとして同名の計画をまとめており、その趣旨に沿う形で製紙業界の考え方や取組み方針を策定したもの。
経団連は同計画の中で「われわれは、2050年に世界の温室効果ガス排出量を半減させるとの目標達成に、日本の産業界が技術力で中核的役割を果たすことを共通のビジョンとして掲げる」と謳っている。また、その基本方針として (1) 参加する業種が低炭素技術やエネルギー効率の維持・向上を社会に公約する (2) 参加業種は自らが主体的に取り組む内容をメニュー化したうえで公表し、実施する (3) 経団連は参加業種による取り組みが着実に行われるよう、政府とも連携しながら計画→実行→評価→改善のサイクルを推進する――を掲げた。
これを受けて製紙連は計画の冒頭、「製紙は典型的な循環型産業で、持続可能な森林経営のもと原料調達を行うとともに、古紙のリサイクルにも積極的に取り組んでいる。またエネルギー利用においても廃棄物エネ・再生可能エネの比率を拡大する燃料転換が、地球温暖化対策として大きな効果を上げてきた」と分析。
そのうえで「今後の低炭素社会の実行に当たっては森林資源の有効活用が鍵を握っており、バイオマス燃料の確保が重要だが、他産業との競合が激化していることから、未利用資源である林地残材の活用が実現性が高い」との考え方を示している。

(詳細は Future誌 6月28日号 で)

日本製紙連合会/海外植林地の CO2 吸収・蓄積量評価・認証システムを試行
日本製紙連合会は毎年、海外産業植林センター(JOPP)に委託する形でさまざま調査を実施してきおり、その1つに「海外植林地における CO2 吸収・蓄積量評価・認証システムの構築」がある。
日本の製紙企業が海外で展開している植林事業について、 CO2 吸収源としての役割を正当に評価し、企業のCSR活動やボランタリーなカーボンマーケットで積極的に活用するためにも、海外植林地の CO2 吸収量と蓄積量、またそのカーボンクレジットを評価・認証するシステムを創設する必要があるが、こうした問題意識に基づき製紙連は09〜10年度の2ヵ年にわたり、JOPPに対し海外植林地における CO2 吸収・蓄積量評価・認証システムの構築を委託した。この結果、09年度は評価・認証システムの制度設計を後出のように確立、10年度は吸収・蓄積量評価システムの試行を行うとともに、カーボンクレジット認証システムについて引き続き検討を深めることとした。

(詳細は Future誌 6月28日号 で)

日本製紙連合会/新会長に王子製紙社長の篠田和久氏
日本製紙連合会は、5月10日開催の定時総会で新会長に王子製紙社長の篠田和久氏を選出した.前会長の芳賀義雄・日本製紙社長は引き続き副会長(兼紙部会長)として役員にとどまる。
篠田氏は総会で新会長に選出された後、挨拶に立ち「昨年の紙・板紙内需は対前年比で約 10% 程度の落込みとなり、20年前のレベルまで逆戻りした。今次不況による需要の大幅減少は、永年懸念されていた構造変化による需要減退をも一気に加速させた感があり、今後、国内需要の大幅な伸びが期待できない状況であることは衆目の一致するところだ。また輸入紙の増加に象徴される市場のグローバル化の進展は、従来の国内対策に加え、とくに中国を中心に急成長するアジア市場を大きな意味での内需として捉え、わが国製紙産業の発展に結びつける対応が必要になっている」との認識を示したうえで、今年度における製紙連の重点的な事業課題として次の3点を挙げた。
(1) 地球温暖化対策の着実な進展と対応
(2) 循環型社会構築に向けた資源・原材料問題への取組み
(3) アジア諸国の製紙業界との交流深化
このうち(1)では、京都議定書の約束期間である2012年度までの温暖化自主行動計画を実行し、目標達成に向けて順調に進捗しているが、さらに2013年以降について議論を深め、経団連などと連携した次段階における目標づくりを検討していく考えを明らかにする一方、温暖化対策税や排出権取引導入などは、内容によっては産業活動が規制される可能性もあるため適切に対応していくとした。
また(2)については、今年度が“古紙利用率62%”目標の最終年度に当たることに言及し、「すでに2年連続して目標をクリアしているが、生産規模が落ちるなかで紙・板紙生産構成の変化によるところも大きい。62%という目標値は決して低いハードルではないが、循環型社会における製紙業界の社会的責務であるとの認識に立ち、2011年度以降の利用率目標を関係業界とも連携を図りながら策定していきたい」と利用率目標の引上げに前向きな姿勢を示した。

(詳細は 紙パルプ技術タイムス7月号 で)

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